2014 Fiscal Year Research-status Report
小児肝移植患児に対する移行期自己管理支援体制の構築
Project/Area Number |
25670982
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
添田 英津子 慶應義塾大学, 看護学部, 講師 (70310414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 雄光 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20204878)
下島 直樹 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30317151)
田邉 稔 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50197513)
藤野 明浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50306726)
黒田 達夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60170130)
星野 健 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (70190197)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小児看護 / 移行期 / 肝移植 / Quality of Life / 野外教育活動 / 外来看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】わが国における肝臓移植の黎明期は、肝移植の主な対象は末期肝不全状態にある患児であったが、移植の手術手技や周術期管理の進歩により、今や成人患者に対する治療としても確立した。一方で、総肝移植数のうち、(小児・成人問わず)慢性拒絶や肝動脈閉鎖・胆管合併症などにより、再移植・再々移植を必要とする症例が増えているの。特に肝移植患児においては、アドヒアランスの獲得状況が再移植・再々移植に至る関連要因としてあげられている。移植医療の進んだ欧米では、移植患者に対して「Transplantation is a disease.(移植を受けることは、また他の病気を持つこと)」と説明し、長期ケアとして様々な野外活動が提供している。本邦において、野外教育活動の効果を測定する尺度として「IKR評定用紙」があり、様々な成果が報告されている。初回であるため1泊の活動を企画したが、1泊であってもそこでの経験や患児同士のつながりは、一生涯記憶に残る経験になるのではないかと考えている。このような活動を定期的に開催することにより量的データを蓄積していくことや、インタビューや観察法などの質的研究で追及することも視野に入れている。 【意義】小児期に移植を受けた肝移植患児が、野外教育活動を通して「生きる力」を獲得することにより、アドヒアランスを向上することができる。将来的には、自己管理ができるようになり、長期に移植した肝臓が機能するという、この野外教育活動が再移植を回避するための一助になるのではないかと考える。 【研究実績】2014年度は、倫理審査申請と準備期間を経て、3月末に実際に野外教育活動を行った。対象として、8名の参加者が得られた。調査は、実施前・実施後・追跡(実施後1か月)の3回であり、2015年5月現在、3回目のIKR評価用紙を回収している。2015年度は、I調査結果をもとに野外教育活動の評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、①肝移植患児が抱えている小児から成人への移行期の問題点を明示する、②パイロットとしてスキーキャンプを試行するという2つの目標をたてた。①ついては、長期生存患者3症例に対し、術後のQOL調査を行い回答を得た。調査方法は、Short-Form36(SF-36)と研究者作成の質問用紙を用いた。SF-36では、概ね良好なQOLを示し、研究者作成の質問用紙においても健康上の大きな問題はなかった。しかし、中には外来へ来なくなってしまう症例もあり、肝移植患児が長期に抱える問題点が浮き彫りにされた。②については、3月にパイロットとしてのスキーキャンプを計画していたが、感染性腸炎やインフルエンザの流行により見合わせた。スキーキャンプの試行の代わりに、キャンプ経験が豊富である、ピッツバーグ小児病院スターズル移植センターで行われているキャンプにつき、現状や方法を調査した。 平成26年度は、②のスキーキャンプを試行するという目標に重点を行い、計画を遂行した。スキーキャンプの計画(後に、「スノーキャンプ」と名称を変更)、野外活動専門家の選択、倫理委員会申請(看護医療学部・医学部)、キャンプの実施、調査を行った。スノーキャンプを3月末(28日~29日)に行ったため、調査については、4月末に最終調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、本研究の最終年度となる。平成26年度末に野外教育活動(スノーキャンプ)を施行した直後であり、その成果についての調査は現在進行中だが、野外教育活動を行ったことによる子どもたちの身体的能力・生活の力などを可視化していく予定である。 その効果から、今回の野外教育活動を、肝移植患児が小児から成人への移行期を向かえ、その後自立して生活していくための支援事業として継続していけるよう、種々の方策を探求する予定である。
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Causes of Carryover |
野外教育活動を3月末に実施したため、会計処理上、年度を繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月末に野外教育活動を施行した際の支出で、ほぼ予定計画通り予算を使用したこととなる。
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