2013 Fiscal Year Research-status Report
腟内細菌叢に着目した早産予防のための妊婦の好ましい生活習慣の検討
Project/Area Number |
25670984
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
佐々木 くみ子 大阪医科大学, 看護学部, 准教授 (00284919)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腟内細菌叢 / 細菌性腟症 / 生活習慣 / 妊婦 / 早産予防 |
Research Abstract |
本研究の目的は、妊娠期にある女性を対象として腟内細菌叢の状態と性行動や清潔行動、排泄行動などの生活習慣との関連を同時に検討し、細菌性腟症を含む腟内細菌叢の健康状態と生活習慣との関係を明らかにし、その結果から、腟内細菌叢の異常が原因と推察される早産の予防に資する生活習慣を提案することである。 平成25年度は、研究の第1段階として、成人期以降の女性および妊婦の腟内細菌叢と関連可能性の高い生活習慣を、主に文献検討を中心に探索した。その結果、妊婦の腟内細菌叢の健康状態との関連可能性が示唆される生活習慣および生物学的要因、心理・社会的要因が複数抽出された。 生活習慣では、主に、食・清潔・性に関する生活習慣が関連可能性のある要因として抽出された。食行動・嗜好品摂取においては、プレ・プロバイオティクス、数種のビタミン、喫煙などが抽出された。清潔行動は、洗浄法を含む外陰部の保清方法が関連要因として抽出された。性行動は、妊娠前・妊娠中の性行動や性交の方法などが抽出された。生物学的要因としては、妊婦の年齢、経産回数、合併症妊娠、体重などが抽出された。また、心理・社会的要因としては、婚姻状態、家庭の所得、慢性的ストレスなどが抽出された。 一方、腟内細菌叢の健康状態の評価方法についても文献検討から示唆を得られた。腟内細菌叢そのものの評価には、PCR法を用いたクローンライブラリー法、T-RFLP法などがあった。細菌性腟症の評価には、グラム染色によるnugent scoreが多用されていた。さらに、腟内pHの測定や、炎症性サイトカインのインターロイキン6の測定、早産徴候として、超音波断層法によるcervical lengthやfunnelingなどの評価が用いられていた。 細菌性腟症と腸内細菌叢との関連を指摘する文献もあり、腸内細菌叢の評価の必要性も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度研究計画は、腟内細菌叢の状態と関連する可能性の高い生活習慣と生物学的要因を抽出するために、文献検討および専門職を対象とした聞きとり調査を実施する予定であった。文献検討についてはは概ね終了した。専門職を対象とした聞き取り調査の実施が遅れている。これは、文献検討を行う過程で、当初予定していた産婦人科医師および助産師を対象にした経験的知識を中心とした聞き取り調査を中止し、聞き取り対象を腟内細菌叢や細菌性腟症を研究テーマとする研究者へ変更することが妥当であると判断したためである。妊婦の腟内細菌叢をキーワードとする論文発表を行っている研究者は数名であり、これら研究者に聞き取り調査および専門的知識の提供を依頼する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の前半は、腟内細菌叢や細菌性腟症を研究テーマとする研究者への聞き取り調査実施および専門的知識の提供を受け、第1段階の研究を終了させる。 平成26年度後半から27年度前半までは、第2段階「疫学的調査と臨床観察研究」の研究を行う。第1段階の結果をもとに調査紙を開発し、妊婦を対象に生活習慣と主観的生殖器健康状態(腟内細菌叢の推測が可能な自覚症状)を調査する。同時に腟内細菌叢(染色法、培養法、サイトカイン濃度測定)を観察し、それぞれの関連を分析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度計画では、文献検討に加え、専門職への聞き取り調査を予定していた。当初、専門職として、産科医師および助産師を予定していたが、文献検討を進める中で、腟内細菌叢または細菌性腟症を研究テーマとする研究者を対象として調査を行うことが妥当であると判断した。このため、調査対象者を変更するにあたって調査の実施が遅れ、実施を次年度へ移行することとした。したがって、平成25年度交付金の旅費および謝金等の未執行分が、次年度使用額となった。 次年度使用額は、平成25年度計画の専門職への聞き取り調査にかかる費用であった。この調査は平成26年度前半に実施予定であり、旅費および謝金等として執行予定である。調査対象は、妊婦の腟内細菌叢および細菌性腟症を研究テーマとする研究者3名程度となる予定である。
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