2013 Fiscal Year Research-status Report
修士課程における保健師教育の開発と評価-日本からの発信
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25671024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
村嶋 幸代 大分県立看護科学大学, 看護学部, その他 (60123204)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 保健師 / 修士課程 / 保健師教育 / 能力 / カリキュラム / 研究能力 / 国際的視野 / リーダーシップ |
Research Abstract |
1.修士課程教育で育成する保健師像と能力の明確化、それを担保するカリキュラム構築 平成25年度は、共同研究者と今後、保健師の大学院教育を予定している大学の教員をオブザーバーとして研究組織を構築すると共に、修士課程における保健師教育でどのような能力を身につけるべきかを明らかにすることに注力した。研究者らが所属する大学院は保健師教育を平成26年度開始予定が3校、既に開始した大学院が2校あるため、まずは各大学院で行われている(行う予定の)教育カリキュラムを共有した。その結果、5大学院で教育する保健師像の共通要素として、①実践を開発できる研究能力、②国際的視野、③将来リーダーとなり得る人材、の3点が上げられた。その後、「修士課程における目指す像と求める能力」について、保健師に必要な7つの能力の大項目(実践的研究能力、保健師としての基本的姿勢・態度、個人・家族レベル、地域レベル、システムレベル、健康危機管理能力、「個人・家族」「地域」「システム」をつなぐ能力)を抽出した。更にそれらを細分化し、行動目標レベル(全205項目)に具体化した。なお、保健師の修士課程で、「個別・身体的アセスメント能力及び、そこからの展開力をどれだけ付加できるか、カリキュラムに取り入れるべきか」が論点として残された。 2.修士課程の保健師教育の効果評価:評価指標の明確化と他の教育カリキュラムとの比較・検証 修士課程保健師教育の評価指標を作成するにあたり、指定規則28単位を基準とし、それに大学院教育30単位を追加することで合意した。また、修士課程における保健師教育のコアを抽出することにも重点を置くこととした。学部教育と大学院教育がどのように違うのかその違いにも注目した。 3.世界への発信・世界標準構築のための準備 国内外の文献は現在収集している。今後文献レビューに本格的に入って行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.修士課程教育で育成する保健師像と能力の明確化、それを担保するカリキュラム構築 研究者らが所属する大学では平成26年度より大学院での保健師教育を開始する予定の大学が3校、すでに開始している大学が2校あるため、まずはそれぞれの大学で行われている(行う予定の)教育カリキュラムの共有を行った。その後、「修士課程における目指す像と求める能力」に関して共同研究者らと東京にて会議を4回行い、それ以外にはメールにて討議を繰り返した。その結果、保健師に求められる大きな能力として7つの能力が抽出された。また、2月には修士課程保健師教育に含まれるべき行動目標が205項目抽出された。しかし、行動目標は全205項目と大変多くなり、今後更に推敲を重ねる必要がある。そして、この205項目の行動目標を基に、能力到達度用紙を作成した。今後はこの行動目標をベースに新カリキュラムの構築を行っていく。 2.修士課程の保健師教育の効果評価:評価指標の明確化と他の教育カリキュラムとの比較・検証 平成26年度には、「保健師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」(厚生労働省、平成23年)を用いて修士課程の学生と他の教育カリキュラムを受けている大学生を対象に保健師教育を受ける前後でどれだけ保健師としての能力が伸びるのかを調査する予定であり、その準備を行った。また、研究者の所属する大学院(広域看護学コース)を平成26年3月に卒業した3名の学生に対して、卒業前に本コースの教育に関するインタビューを行った。 3.世界への発信・世界標準構築のための準備 現在、国内外の保健師教育に関わる文献や資料の収集を行っている。それと同時に、文献レビューにも取り掛かり始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.修士課程教育で育成する保健師像と能力の明確化、それを担保するカリキュラム構築 「修士課程における目指す像と求める能力」として、205項目の行動目標を抽出したので、今後はこれらを更に洗練していく。また、各行動目標を達成するために必要な能力・技術・理論を整理していきたい。改訂された行動目標・能力・技術・理論を基に新しいカリキュラムを構築する。 2.修士課程の保健師教育の効果評価:評価指標の明確化と他の教育カリキュラムとの比較・検証 今後は、平成25年に作成した行動目標の洗練とそれを基にしたカリキュラム骨子を作成する。評価指標を明確化するにあたり、何に重点を置いて評価していくのか、評価視点をまずは明確にする必要性がある。また、異なるカリキュラム(保看統合カリキュラム・保健師選択制カリキュラム・大学院教育)で保健師を養成している大学の学部3年生と修士課程1年生に対して平成26年6月(保健師教育を本格的に受ける前)に厚生労働省の「保健師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」を用いて各々の保健師能力の到達度を評価してもらう。また修士生には平成25年度に研究班が作成した能力到達度用紙も用いて、到達度を評価してもらう。その後、平成27年12月にもう一度同じ調査シートを用いて同じ対象者に1年半後の自己の保健師能力を評価してもらう。その結果を分析することによって、教育形態が異なる群でどのように卒業・終了時の保健師能力として差が出るのかを明らかにする。 3.世界への発信・世界標準構築のための準備 現在、国内外の保健師教育に関わる文献や資料を収集し、文献レビューに取りかかり始めている。その後、この研究で明確になったことを世界に発信するために、日本国内の雑誌と海外の英文雑誌への論文投稿を行う予定である。また、世界で活躍する保健師とのネットワークを構築するためにも海外の保健師関連の学会へ出席する。
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