2013 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザの機能習得を手助けする自己紹介型インタフェース
Project/Area Number |
25700024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 博隆 筑波大学, システム情報系, 助教 (10589641)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒューマンエージェントインタラクション / 擬人化 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成25年度は、現在まで作成した擬人化デバイスを使用し、どのようなユーザに対しどのような擬人化要素が自己紹介型として受け取られるかを主に検討した。アプリケーションの対象となる自己紹介型家電として、冷蔵庫を対象としたプロトタイプを作成した。本プロトタイプでは、主に電子レンジと冷蔵庫の機能説明を対話とジェスチャを通じて行う。また、家電製品との長期的なインタラクション継続を狙うため、ゲーム理論の手法に基づいたインタラクションを自動生成し、これを用いて日常的な動作時の機器に対する印象を改善させ、擬人化手法に親しませることに取り組んだ。一方、機器に対しユーザが入力を行った動作を検知するため、人間の手の出し入れを検出し、冷蔵庫から物を入れたり出したりする動きを手の動きや扉の動きから検出するための、機器後置型センシングシステムの開発を行った。 上記のセンシングシステムと、擬人化パーツを用いて作成した自己紹介型アプリケーションのプロトタイプについて多方面からの意見を得るため、ビデオゲーム開発者の集まる国内会議CEDEC2013や、マルチエージェントシステム研究、ヒューマンエージェントインタラクション研究に関わる研究者の集まるシンポジウムJAWS(デモのみ)、文化差を研究するコミュニティの集まるドイツDagstuhlでのヒューマンエージェントインタラクションのセミナーそれぞれで、システムのポスター研究発表とデモンストレーションを行った。その結果として、ユーザの年代や性別などの属性の事前調査、改良にいたるアドバイスや、具体的なアプリケーションのアイディアを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究目的を達成するため、自己紹介型手法が、どのようなユーザに対しどの水準まで望まれるか、実装を行い、また実験によって検討する必要がある。このためには、擬人化パーツの種類・動き・動きの間の間隔などにしたがってユーザに対する影響がどのように変わるか、様々な世代のユーザに対する実験を行い、各ユーザの認知モデルを得る必要がある。また、複数の擬人化表現が連動して、ユーザに対しそこに説明者がいるかのように感じさせるブレンデッドリアリティの手法が重要である。本年度はこれらの評価を行う準備として、システムの作成およびプロトタイプの作成とその評価が重要となる。これらの目的を満たすため、プロトタイプアプリケーションを作成すると同時に、新しいセンシングシステムについても作成を行った。また、事前のアプリケーションの評価として、複数コミュニティ領域にまたがった評価を行った。特に、ドイツのDagstuhlで行われたセミナーとそのワークショップでは、高い評価を得ることが出来たとともに、異文化のユーザがどのように擬人化表現に対して反応を行うか、ワークショップを通じて深いディスカッションをすることができた。全体的に、研究動向としては事前計画通りに遂行しており、今後の研究の推進にも問題がないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度まで得られた知見を元にして、年齢・文化・性別ごとに被験者を分けて、筑波大学システム情報系の倫理委員会に諮り、審議・承認された後に自己紹介型情報提示を用いた被験者実験を行う。協力対象として、筑波大学みんラボを想定しており、高齢者と若年層における自己紹介手法の比較を行う予定である。同時に、被験者の学習動機について長期的な調査を予備実験として開始する。予備実験では、前年度に使用したプロトタイプを用いた学習ソフトウェアを用いた30分程度の機能習得を被験者に行わせ、数週間後までの機能記憶の様子を随時モニタリングし、評価を得る。これと並行し、被験者属性に対応した表現要素の知見、学習動機の継続の観察から得られた結果を元に個々のデバイスの設計・実装の見直しを行い、最適な自己紹介型インタフェースを達成するためのロボットデバイスの開発を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
納品は年度内に行われたが、経理の都合で支払いが26年4月となったため 次年度使用額の理由は上記のとおりであり、計画通り使用している。
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