2014 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザの機能習得を手助けする自己紹介型インタフェース
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25700024
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 博隆 筑波大学, システム情報系, 助教 (10589641)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒューマンエージェントインタラクション / ヒューマンロボットインタラクション / 擬人化 / ヒューマンインタフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、現在までに作成した擬人化デバイスを使用し、年齢(若年者・高齢者)・性別(男女)ごとに被験者を分けて、筑波大学の研究室と協力し、自己紹介型情報提示を用いた被験者実験を行った。その結果として、高齢者が若年者と比較して、擬人化エージェントに対してより多くの価値を感じること、また、高齢者と若年者が受け取るアニマシーの違いについて評価を行った。特に、音声条件に比べて高齢者の場合は、擬人化条件でインタラクションが改善されることが発見された。本結果を平成27年度に行われるロボットに関する国際会議RO-MANに投稿した。また、性差に関わる擬人化インタフェースの設計方針で留意する点についてディスカッションで得られた結果を、HCIに関わる国際会議CHIでのポスターに投稿し採択された。 また、高齢者がインタフェースを使用する際に戸惑った点を含め、現在の実装の改良点が多く報告された。これらの結果を元に、個々のデバイスの設計・実装の見直しを行った。本デバイスの実装について、国際会議APSIPAでの発表を行った。また、高齢者に対する学習動機を付与するため、被験者の意図を理解するための擬人化エージェントの内部動作モデルを新たに設計し、この評価を行った。内部動作モデルの評価対象としてコミュニケーションゲームを元にしたシミュレーションを行い、被験者のモデルを持つことで相手との協調が成功することを確認した。本成果をヒューマンエージェントインタラクションに関する国内シンポジウムや人工知能に関する国際会議AAAIのワークショップにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究目的を達成するため、自己紹介型手法が、どのようなユーザに対しどの水準まで求められるか、インタフェースを作成し、また実験によって結果を評価する必要がある。本年度は実装した。また、複数の擬人化表現が連動して、ユーザに対しそこに説明者がいるかのように感じさせるブレンデッドリアリティの手法について、どのようなアプローチが必要であるか、実験結果を元に他研究者と議論した。その結果として必要となる内部モデル、心理学上のパレイドリア効果との類似点、擬人化エージェントの設計に対する倫理的・社会的な受容基準など、複数の知見を得ることが出来た。被験者実験については、いくつか予定されていた実験を次年度に持ち越した。研究成果を元に、今後の研究発展に繋がる複数の成果が生まれていることを考え、全体的に、当初の期待通りの成果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた複数の知見を元に、学習動機についての長期的な調査を行いたいと考えている。ブレンデッドリアリティモデルの検討では、自己紹介型のインタラクションを行った際の、各被験者の行動を様々な点からモニタリングする必要がある。調査を行う際には、提案者が過去に開発したインタラクションモニタリングのためのソフトウェアを用いて被験者の行動を外部から記録し、被験者の各身体部品と対象機器とのインタラクションを測定したいと考えている。同時に、本研究提案者らが開発したセンシングデバイスを用いて、ユーザと機器との間で発生するインタラクションを計測する。全体として、これまでの開発フレームワークを上手く使用し、また、多数の研究者とディスカッションを重ねつつ、効率的な研究の遂行を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に行う予定だった長期実験の開始について、設計したセンサデバイスの作成遅延のため、開始時期を次年度にずらした。そのため、被験者実験のための謝金として未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施する被験者実験費用として、使用する。
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