2016 Fiscal Year Annual Research Report
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25704018
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
埴淵 知哉 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (40460589)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 近隣 / 健康 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに実施・収集したインターネット調査による個票データをもとに、今年度は睡眠と近隣環境に関するマルチレベル分析を進めた。各種の認知的および客観的近隣環境指標と睡眠の関連性について検討した結果、近隣騒音と不眠症状・短時間睡眠との強い関連性が明らかになり、またその関連性が騒音を感じる時間帯によっても異なることが示された。加えて、安全性や社会的結束性といった認知的近隣環境も不眠との関連を示す一方で、商店への近接性といった客観的近隣環境指標とは関連しなかった。この結果は、近隣環境と健康との時間的変化を伴う結び付きを示す事例研究として、2017年夏に開催予定の国際医学地理学シンポジウムで発表を予定している。 これに加えて、他の調査データを利用した近隣と健康のマルチレベル分析、またそれに関連する様々な方法論的課題についても研究を進めた。とくに、ソーシャルキャピタルやウォーカビリティといった近隣環境の諸側面による健康への影響について、これまでの研究の到達点および今後の研究課題を整理した解説記事の執筆や、学会・研究会等における報告をおこなった。また、インターネット調査による個票データ収集およびそこでの住所データの扱いに関する評価を進め、国勢調査による近隣指標作成上の課題と合わせて、社会調査データの利用に関する課題を整理した。 以上の研究結果については、今後も国際学会での発表や主要学術誌への論文投稿を通じて、結果の公表を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要課題であった近隣騒音と睡眠の関連性について分析結果が得られたこと、また関連する各種の近隣と健康指標の分析、および調査方法に関わる基礎研究も進んだ点で、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により得られた分析結果については、引き続き、学会発表や論文掲載を通じて公表を進める。また、収集済みの個票データについては、学際的共同研究を通じたさらなる分析の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
当該分野で最も重要な国際会議である国際医学地理学シンポジウム(二年に一度の開催)において研究成果を発表するために、補助事業期間を延長して次年度分の海外出張旅費を確保したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年7月にフランスで開催予定の国際医学地理学シンポジウムにおいて、学会発表をおこなうための海外出張費として使用する。
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