2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25709027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安藤 裕一郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50618361)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シリコンスピントロニクス / スピン流制御 |
Research Abstract |
スピン流(スピン角運動量を有する電流)は従来,1ビット情報しか輸送できなかった.本研究は申請者のシーズ技術であるSi中へのスピン注入・輸送・操作技術を高度化し,スピン流で輸送できる情報を多ビット化する.具体的にはスピンの向きを3次元的に制御して輸送し,検出電極で3次元情報に復元する技術の確立を図る.本技術によってスピン流で輸送できる情報量は飛躍的に増加し,従来のスピントロニクスを遥かに凌駕する高機能デバイスの実現が期待できる. 本年度はスピンの方向制御技術の向上を目指し,Siチャネルで4π以上のスピンの回転を検出することを試みた.4π以上の回転を検出するためにはSiの長距離輸送が不可欠である.スピンの長距離輸送の実現にはシリコンチャネルを低ドープにすることが有効であると期待される.そこで本研究では非縮退(1e18 cm-3)のSiチャネルを有するデバイスを作製した.また複数回の回転を観測するにはスピン注入電極からスピン検出電極までのスピン流の到達時間を厳密に制御する必要がある.その為,過去の我々の研究でその有用性が明らかになった,スピンドリフトの効果を用いた測定手法を開発した.その結果,21マイクロメートルと非常に輸送距離の長い試料を用いてスピン輸送信号の室温検出に成功し,更に4π以上の回転を観測することに成功した.この結果はスピン方向の3次元制御において2回転に相当する制御までは十分にスピン情報を保持することを意味しており,複数回のスピン回転操作が可能であることが証明された結果と言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はスピン情報の三次元検出を行う予定であった.しかし,デバイス作製装置のトラブルが発生し,新しいデバイスの作製が困難となり,これまでに作製したデバイスで新しい実験を行う必要性が出てきた.従って計画予定の修正を余儀なくされたが,室温における複数回回転のデモンストレーションという予想以上の成果を得ることが出来た.本年度の予定は来年度に繰り越しをするが,その代わりに最終年度に行おうと計画してした結果の一部を既に実現することができたことを鑑みると,概ね順調に進展していると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はスピンの3次元検出技術の確立および中間磁性体を用いたスピン方向制御の基礎技術を構築する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として計上していたが,本年度は使用する必要がなかったため, 来年度の購入に変更した. 実験に使用するカプトンテープを使用する予定である.
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