2014 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞糖鎖の機能解析と再生医療に貢献する新規糖鎖工学技術の開発
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25712039
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
舘野 浩章 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 主任研究員 (30450670)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 幹細胞 / レクチン / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
第3の生命鎖と呼ばれる糖鎖は細胞間相互作用を媒介することにより多くの生命現象に関係している。再生医療のための細胞源として期待される多能性幹細胞(iPS細胞、ES細胞)表面も糖鎖で覆われているが、その構造や機能は十分には理解されていない。研究代表者らは多能性幹細胞の網羅的糖鎖解析の結果、多能性幹細胞に特異的に反応する新規プローブレクチン(rBC2LCN)の発見に至っている。本研究ではrBC2LCNが認識する新規未分化糖鎖マーカーの構造と機能を明らかにするとともに、糖鎖を活用した未分化細胞除去技術を開発することを目的としている。本年度は、rBC2LCNに緑膿菌由来毒素を融合させたrBC2LCN-PE23を用いて移植用細胞に残存するヒトiPS/ES細胞を殺傷除去する技術の開発に成功し、Stem Cell Reportsに論文発表した。また、電子顕微鏡を用いてrBC2LCN-PE23の殺傷機構に関する新たな知見を得た。更に、rBC2LCNの結晶構造解析を行い、精密糖鎖認識機構を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度までに既にrBC2LCNが認識する新規未分化糖鎖マーカーの構造については明らかにしている。本年度は、rBC2LCNがヒトiPS/ES細胞に結合した後に、細胞内に取り込まれるという現象を見いだした。そこで細胞内に取り込まれるとタンパク質合成を阻害し細胞死を引き起こす緑膿菌由来外毒素をrBC2LCNのC末端部分に融合させた組換えタンパク質(rBC2LCN-PE23)を考案し、培養液に添加するだけで移植用細胞に残存するヒトiPS/ES細胞を効率的に殺傷除去技術の開発に成功し、Stem Cell Reports (2015)から論文発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
rBC2LCN-PE23に更に改良を加えて、未分化細胞殺傷効率を向上させる。rBC2LCNの精密糖鎖認識機構を明らかにするとともに、詳細な細胞内外局在を明らかにする。また、rBC2LCNが認識する未分化糖鎖マーカーの機能に関する知見を得る。
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Causes of Carryover |
想定以上に効率的に研究が進んだため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画遂行に当たり必要となる物品の購入に使用する
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Remarks |
第17回日本糖質学会奨励賞受賞「糖鎖レクチン工学による幹細胞評価技術の開発と産業展 開」
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Research Products
(29 results)