2014 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞時に現れる筋線維芽細胞による死細胞貪食メカニズムの解明
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25713007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仲矢 道雄 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80464387)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋梗塞が起こると、血液供給が断たれた領域の細胞が壊死する。この壊死した細胞はマクロファージ等の貪食細胞によって速やかに除去される。しかしながら、その貪食の分子メカニズムはこれまで全くわかっていなかった。申請者はこの死細胞の貪食にMilk fat globule EGF factor-8(MFG-E8)という分子が関与することを見出した。そしてさらにMFG-E8がマクロファージ等の貪食細胞ではなく、組織の線維化を担う、筋線維芽細胞によってのみ産生されること、この筋線維芽細胞が貪食能を持つことを見出した。そこで本研究では心筋梗塞時におけるMFG-E8およびMFG-E8を産生する筋線維芽細胞の役割を明らかにし、死細胞の貪食を切り口にした新規の心筋梗塞治療法開発の礎を築くことを目的とした。本年度は、MFG-E8陽性の筋線維芽細胞が貪食後に抗炎症性の性質を帯びるかについての検討を行った。マクロファージはアポトーシス細胞を貪食するとTGF-βなどの抗炎症性サイトカインを放出し、逆にIL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインを産生しにくくなる。この性質はアポトーシス細胞が多く生じる、種々の炎症環境下での炎症の収束に大きく貢献している。新たに見出したMFG-E8陽性筋線維芽細胞はマクロファージと同様、効率的にアポトーシス細胞を貪食し、かつ種々のサイトカインの産生能を持つ。そこで、この筋線維芽細胞がマクロファージと同様、貪食によって抗炎症性の性質を獲得し、梗塞領域の炎症収束に寄与するかについて検討した所、マクロファージと同様に貪食によって抗炎症性を示す事が明らかとなった。 さらに心筋梗塞時に現れる、MFG-E8陽性筋線維芽細胞の起源を検討し、多くは常在性の線維芽細胞、一部は内皮間葉転換細胞由来であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した計画をほぼ全て終わらせる事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画に記載した通り、MFG-E8を心筋梗塞処置後に投与する事によって、心筋梗塞後の病態が改善するかについて詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
当初見積もりよりも少額の金額で研究を遂行する事ができた。従って、来年度に予算を繰り越す。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
MFG-E8の投与による心筋梗塞後の病態改善効果の検討を行う。その際に使用する、心臓カテーテル、マウスの購入費に使用する予定である。
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