2015 Fiscal Year Annual Research Report
Modulation of repeat size in trinucleotide repeat expansion disorders
Project/Area Number |
25713034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中森 雅之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60630233)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筋強直性ジストロフィー / ハンチントン病 / トリプレットリピート |
Outline of Annual Research Achievements |
ハンチントン病や筋強直性ジストロフィーなどのトリプレットリピート病では、CAGやCTGといった3塩基繰り返し配列(リピート)が異常に伸長しており、そのリピート長は症状の重症度と比例する。これらトリプレットリピート病患者では、年齢とともにリピート長がさらに伸長することにより、症状が進行するとされる。本研究では、こうした症状進行の原因となるリピート伸長機構を解明し、その制御を可能にすることでトリプレットリピート病の治療を目指している。前年度までに異常リピートの伸長を抑制する低分子化合物を同定していたが、今年度は異常伸長リピートの短縮を誘導する化合物を新たに同定した。本化合物投与により、800ものCAG・CTGリピートをもつHT1080細胞モデルで異常伸長リピートの短縮効果を実証した。In vitroのアッセイ系での評価により、低分子化合物によるこうしたリピート短縮作用は、DNA修復機構を介してなされることも解明した。本年度の研究実績から、異常リピート短縮作用をもつ低分子化合物は、トリプレットリピート病のリピート長のさらなる伸長を防ぐだけでなく、究極的にはリピート長を正常化させ疾患の根治にいたる、新たな治療薬となる可能性が示された。さらに、リピート結合性低分子化合物であるアクチノマイシンDやヘプタミジン(ペンタミジン誘導体)、エリスロマイシンには、異常RNAの毒性を低減させる作用があることも筋強直性ジストロフィー細胞モデル、マウスモデルで証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異常リピートの伸長を抑制するだけでなく、よりリピート病への治療効果の高い、リピート短縮を誘導する低分子化合物を同定することができた。細胞モデルでの検証は非常に順調に進み、その効果を実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト細胞モデルで異常リピート短縮効果がみられたリピート結合性低分子化合物について、ハンチントン病患者由来細胞や筋強直性ジストロフィー患者由来細胞、ならびにハンチントン病モデルマウス、筋強直性ジストロフィーモデルマウスへ投与して、その効果を検証する。また、これまでに樹立された患者由来iPS細胞を用いて、リピート伸長に関与する因子の同定を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年10月、リピート不安定性の評価実験に使用するDM1マウスの提供元の研究所において、感染事故による大幅な個体数の減少が発生し、当該マウスが入手困難となり、再交配が必要となった。再交配に3か月を要し、また再交配で樹立した系統が評価実験に用いることができるかの予備実験に3か月を要したため、DM1マウスでの評価実験の開始が6か月遅延することとなった。この結果、 DM1マウスを用いたリピート不安定性の解析に必要な費用の繰り越しを申請することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「物品費」として、マウス筋組織よりDNAを抽出する試薬、伸長リピートを増幅する試薬、検出のためおこなうサザンブロットに必要な試薬、次世代シークエンサー用調整試薬など5,000,000円が必要である。
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