2014 Fiscal Year Annual Research Report
利き手を手がかりとした幼児,児童における認知処理と運動処理との関連性の解明
Project/Area Number |
25730101
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 国威 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (20580913)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体性認知 / 利き手 / 幼児 / 双生児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、身体性認知の枠組みから身体の左右差に注目し、幼児における身体運動による認知処理への影響を検討した。44名(女児21名、男児23名)の5歳児に研究に参加してもらい、スキルに関する課題を行わせた。さらに協力者に片方だけ手袋をつけた状態でドミノを並べる課題を実施させ、一時的に手の流暢性の左右差を操作した。その後、提示された言葉に対応する絵を4つの中から選択させる課題(マッチング課題)に参加してもらい、その成績が一時的な手の流暢性からどの程度の影響を受けるのかを、またスキルの左右差と成績との関連性を検討した。一時的な手の流暢性がマッチング課題の成績に与える影響は観察されなかった。他方マッチング課題において手の活動に関する単語と対応する絵の選択の際に、右手の絵を選択する傾向がスキル課題での右手の活動が優位な子どもに多く観察された。また質問紙法や行動観察などで双生児データベース(慶応義塾大学双生児プロジェクト)から側性にかんする分析を行い、側性における遺伝構造と環境構造との関連性を検討した。従来の研究では利き手に関する遺伝構造は1因子のモデルで説明されることが多かったが、本研究では多因子モデルの方が妥当性が高いことが示された。また環境構造は利き手、利き足、利き耳ごとの3因子で主に説明できることが示された。 さらに言語刺激提示時の神経活動の個人差を検討した結果、乳児期における脳の個人差には環境要因が大部分を占めているが、左半球の神経活動には僅かながら遺伝の影響があることも示された。
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