2013 Fiscal Year Research-status Report
高エネルギー可視光線であるブルーライトによる動物細胞障害過程の解明
Project/Area Number |
25740018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐藤 一臣 玉川大学, 農学部, 助教 (10554991)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞死 / 青色光 / メラノーマ / ミトコンドリア膜電位 / 活性酸素 / ネクローシス / アポトーシス |
Research Abstract |
生物は、生から死へのプロセスの中で常に外的ストレスにさらされている。主として、紫外線、放射線、化学物質などがあげられ、これまでに多くの報告がなされている。本研究では日常生活で常にさらされる可視光線に着目し、動物細胞に与える影響について解明を試みた。現在までのところ以下の成果を得ている。 B16F1およびB16F10メラノーマ細胞に対し、光量子束密度150μmol m-2 s-1の単色光(青、緑、黄、赤)を照射した。細胞生存率を求めたところ青色光(460 nm)照射群において著しい生存率の低下を認めた。さらに、青色光の照射12時間後に細胞内活性酸素量の上昇、24時間後にミトコンドリア膜電位の脱分極が確認された。ミトコンドリア膜電位の崩壊は早期アポトーシスの特徴であり、以上の結果から青色光がメラノーマに対し、ミトコンドリア依存性アポトーシスを誘導していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は可視単色光による細胞死誘導メカニズムを明らかにすることである。現在までのところ、青色光をメラノーマに照射することで、細胞死、特に早期アポトーシス時に特徴的にみられる細胞内活性酸素量の上昇、ミトコンドリア膜電位の脱分極が検出されている。さらに、照射エネルギー量(30Wm-2、50Wm-2)を統一して行った実験においても青色光特異的に細胞死を誘導していることが明らかとなった。 以上の結果から、ブルーライトがメラノーマの細胞死を誘導していることが証明されたと判断しており、本分野における今後の研究の多様化が期待される。よって現在までのところ本研究計画は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、がん細胞であるメラノーマに対するブルーライトの影響を調査しているが、今後は正常細胞の性質を持つ繊維芽細胞株を用いた実験も同様に行いたいと考えている。また、研究計画通りブルーライトが細胞周期におよぼす影響について調査を進める計画である。しかし、予備実験の結果より、照射強度、照射時間の変更によって細胞周期の挙動が予想以上に多様性に富んだものであることが明らかとなってきている。そのため、今後は細胞周期を中心に研究を進める可能性も考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既存の購入した消耗品類の利用が可能となったため、物品費に余裕が生じた。 研究は順調に行われているため、今年度は消耗品、備品の購入は多くなると考えられる。そのため、助成金は計画通り執行できると考えている。
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