2013 Fiscal Year Research-status Report
Super-SCIDマウスを用いた放射性ヨウ素によるヒト甲状腺組織障害機構の解析
Project/Area Number |
25740023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
足立 成基 独立行政法人医薬基盤研究所, 難病・疾患資源研究部, 研究員 (60379261)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射性ヨウ素 / ヒト甲状腺 / SCIDマウス / ヒト甲状腺移植 / 遺伝子発現 / I-131 / マイクロアレイ解析 |
Research Abstract |
1.ヒト甲状腺移植実験を行うため、マウス血中のIgGおよびIgM値が検出限度以下(<1μg/ml)のC3H/HeJ-md+ scid/scid LPS-マウスを医薬基盤研究所動物実験施設SPF環境下にて生産を行った。 2. ヒト甲状腺組織置換マウスの作成:ヒト甲状腺組織に関しては、頭頸部がんの切除手術の際、治療上切除せざるを得ない甲状腺組織あるいは、バセドウ氏病患者で治療上および美容上やむを得ず切除されたものを患者および倫理委員会の承認を得て移植に用いた。1辺5-6mmの大きさに切断したヒト甲状腺組織を、scidマウス左右背部皮下に麻酔下で移植した(平成24年度までに行った実験)。 3. 遺伝子発現変化の探索:ヒト甲状腺移植SCIDマウスに放射性ヨウ素I-131を投与した後、計算上すでにI-131が1原子以下になっているもの(放射線審議会においてRI施設外に持ち出しての実験を承認)を用い、本年度はマイクロアレイ(Affymetrix社製GeneChip)による遺伝子発現変化の検出を行った。I-131(0.5、0.25、0.125、0.0625Mbq/マウス)の腹腔内投与を1回行ったヒト甲状腺組織の遺伝子変化(8500個)は、4倍以上の減少が8.5、19、15.5、15個、増加が16.5、16、2、13個であった。また、ヒト甲状腺組織の中性子照射によって特異的に誘発された14個の遺伝子変化について観察したところ、調べた甲状腺組織すべてにあったわけではないが、高線量(0.25Mbq)ではENO2、C7orf68(HILPDA)、HK2、ADM、CEBPD、BNIP3に減少が見られ、DIO1、TFF3、COL9A3に増加が見られた。低線量(0.0625Mbq)ではENO2、C7orf68(HILPDA)、HK2に減少が見られ、COL9A3で増加がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医薬基盤研究所RI施設の空調工事があったためRI施設実験が行えなかったが、平成25年度は当初計画通り、I-131投与サンプルの放射活性が、1原子以下になっているものについて解析を行い、予定通り成果を得られた。また、移植実験に用いるSuper-SCIDマウスの生産を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度同様にヒト甲状腺移植に用いるscidマウスの生産を行う。ヒト甲状腺組織をscidマウスに移植後、I-131 (0.5、0.25、0.125、0.0625MBq/マウス)の腹腔内投与を行う。ヒト甲状腺組織を摘出し、I-131が1原子以下になった後、マイクロアレイによる遺伝子発現解析を行う。 すでに得られている、ガンマ線の成果と比較し、ヒト甲状腺組織での生物学的効果比(RBE)を新たに求める。また、X線、原子炉中性子線外部照射の成果と比較し、放射性ヨウ素内部被ばくによる直接影響を取りまとめる。
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