2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25750005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
上田 篤嗣 岡山県立大学, デザイン学部, 助教 (90382366)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ピクトグラム(絵文字) / 触知行動評価 / 認知機能評価 / 触知図 |
Research Abstract |
本研究は中途視覚障害者の生活自立、社会参加及び安全性の向上を図ることを最終目的に、まずは中途視覚障害者の環境設備の中でも未開拓な触覚機能を利用する設備とそのデザイン、すなわち触知ピクトグラムに焦点を絞り、触知時の行動特性の解明とその適切な評価法の検討を行い、それらをもとに視覚情報のみならず触覚情報をも提供できるピクトグラムを開発する。 初年度は、アイマスクをした晴眼者を対象に既存のJIS規格ピクトグラム「標準案内用図記号」を触知化したピクトグラムを用いて触知行動特性を詳細に評価し、それらの相違から最適のサイズを確定した。触知行動の評価に際しては、年齢や性別等の基本属性の他に知能や視覚性記憶の心理学的特性が、触知行動特性とどのような関係にあるのかも明らかにした。具体的には、広く普及している既存の「標準案内用図記号」を触知化した触知刺激を用いて、アイマスクをした晴眼者を対象に、触知にかかる時間、分かりやすさ・確信度、複雑度等の触知行動特性を詳細に評価し、研究対象者は視覚機能の中途での機能低下・喪失を想定しアイマスクをさせた晴眼者とした。 また、触知ピクトグラムの作成には、まず中途視覚障害者が屋外で生活行動領域を広げるために必要と思われる「標準案内用図記号」の中から、一定の基準(理解度・視認性80%以上)等を設け20個を選定後、立体コピー機を使用して触知ピクトグラムを作成した。作成サイズに関して、3cm、6cm、9cm、12cm、15cm四方の5段階で検討した。 触知正答率、触認知時間、分かりやすさ、確信度、触複雑度の各触知行動特性の値を求め、統計的有意差検定を行った結果、総合的な分析から適正サイズ(12cm)を導きだすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、中途視覚障害者が屋外で生活行動領域を広げるために必要と思われる標準案内用図記号の中から選定した20個のピクトグラムを5つのサイズ(3cm、6cm、9cm、12cm、15cm)を立体コピー機でカプセルペーパーに印字後作成し、1.心理検査、2.事前のピクトグラム学習、3. カプセルペーパーに印字されたピクトグラムをアイマスク着用した触知実験 の手順で晴眼者48 名に被験者実験を行うことができた。 まず、各サイズにおいて、触認知時間との心理検査(年齢、教育歴、理解率、推定IQ、視覚性記憶成績など)との関連を調べることができた。さらに、各サイズにおける触知行動特性(触認知時間、正答率、分かりにくさ、確信度、触複雑度)を調べることができた。実験終了後に行ったインタビューから、各標準案内用図記号を触知化した際の認知しやすい点と認知しづらい点についてもまとめることができ、今後のデザイン改良につながる参考材料となった。 また、デザイン分野と福祉分野の研究協力者の方々、盲学校の教諭からも様々なアドバイスや意見をいただき今後の本研究の改良すべき点、見直し・再検討する箇所などが徐々に明確となった。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は前年度に得られた結果を踏まえて、さらに個別のピクトグラムにおける触知行動特性に関して詳細な分析を行う。また正答率が100%では無い分かりづらいピクトグラムの高さを4段階(0.4mm 0.6mm 0.8mm 1.0mm)に調整して、触知行動特性を調べていく。この実験は、カプセルペーパーでは厳密な高さの統制がとれないのでアクリル版で触知ピクトグラムを作成したもの使用する。 さらに、晴眼者と実際の中途視覚障害者とでは結果の相違があるかもしれないので、中途視覚障害者でも検証やインタビュー調査を行う予定である。これらの結果を踏まえて触知ピクトグラムの問題点を明確にし、それをもとに複数のデザイン改良案を製作し、再度、触知行動特性およびデザイン性の評価を行いたい。これを通じて、従来の視覚優位のデザインから、視覚情報と触覚情報を合わせ持つピクトグラムデザインの開発および再評価へつなげたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画において、触知ピクトグラムの実験用作成費と被験者費等が予定より費用がかからなかったために残額が生じた。 予定より少々早く計画が進行しているので、より詳しい実験とそれに伴う被験者費や謝金等に使用し、本研究を前年度以上に深めていきたい。
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Research Products
(1 results)