2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25750143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 弘恵 東京大学, 地震研究所, 助教 (90401265)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地震動 / 超巨大地震 / 東北地方太平洋沖地震 / 震源 / 強震動予測 |
Research Abstract |
世界の地震ハザード評価,特に海溝型地震の震源のモデル化研究は,東日本大震災を引き起こした2011年東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0~9.1)や,2010年チリ・マウレ地震(Mw 8.8)によって転換を迫られている.その理由は,M9クラスの超巨大地震において,M7~M8クラスの海溝型地震ではこれまで確認されていなかった,長周期地震動と短周期地震動の発生場所が明瞭に異なる現象や,地震動の強さがMw 8.4程度で飽和する現象等が,相次いで確認されたためである. 本研究では,申請者がこれまで手がけた内陸地震と海溝型地震の震源モデル化研究を基に,応力降下量に関する解析および震源過程解析を展開し,M6からM9クラスに至る超巨大地震群を対象とし,幅広い地震規模で適用可能な,強震動予測のための震源モデル化を行う. 初年度は,超巨大地震の一つである2011年東北地方太平洋沖地震の地震群を対象に,本震前後の応力降下量の時空間変化を推定した.その結果,前震の応力降下量は相対的に低いこと,本震直後の地震規模の大きな余震の応力降下量が高いこと,そして余震の応力降下量のバラツキが大きいことが分かった. また,強震動パルス生成の観点から環太平洋の海溝型地震の震源モデルを整理し,震源時間関数のプロトタイプを分析した.強震動パルスが生成される海溝型地震の場合,最大値が大きく継続時間が短いKostrov型の関数が,強震動パルスが生成されにくい海溝型地震の場合,最大値が小さく継続時間が長い二等辺三角形の関数が,震源時間関数として得られることが多いが,超巨大地震の場合,両者が必要であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の超巨大地震群の強震記録の解析および震源モデルの分析が,予定通り実施された.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,超巨大地震特有の確認現象を考察し,単にランダムではなく,地震の破壊成長過程を周期依存性に反映させた,超巨大地震群の強震動予測震源モデルを構築することを目標とする.また,引き続き,応力降下量の時空間変化と地震規模依存性に関する解析を予め行い,地震発生の場の理解に努める. これらにより,M6~M9クラスに至る幅広い地震規模を遷移的に表現可能な,強震動予測震源モデルが構築される.また,東北地震の断層直交方向の破壊進展と,チリ地震の断層平行方向の破壊進展の比較研究により,将来の南海トラフ巨大地震等の複数の地震シナリオによる,長周期地震動と短周期地震動の生成に示唆を与えることが期待される.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国外の超巨大地震群の強震記録の解析および震源モデルの分析に,さらなる時間を要することが判明したため. 強震記録の解析および震源モデルの分析に必要な費用として使用する.
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