2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞レベルからの血流解析モデルの再構築:新たな血液連続体モデルの創成へ
Project/Area Number |
25750155
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 俊宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10633456)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 計算生体力学 / 赤血球 / サスペンション |
Research Abstract |
本研究課題は,赤血球一つ一つの運動から連続体レベルのマクロな物理量(粒子応力テンソル,自己拡散テンソル)を算出し,ミクロとマクロをつなぐことの出来る新たな血液連続体モデルの創成を目指すものである.平成25年度においては,赤血球一つ一つの膜面応力から,血液の粒子応力テンソルを算出し,赤血液が多数含まれる血液の運動量輸送を議論した.これによって,希薄領域から準希薄領域までの血流のレオロジー特性を明らかにし,赤血球の変形や流動といったミクロスケールの運動と連続体レベルで議論される血液の非ニュートン性(せん断粘性,法線応力差)とをつなげることが出来た. また,微小循環系を流れる赤血球の流動について着目し,微小孔を流れる赤血球流動についても解析を行った.赤血球は生体内において自身よりも小さい毛細血管や,細動脈・細静脈網を通過する.その際,赤血球の変形能や,膜内外の流体の粘度比によって血流の流動抵抗が大きく変化することが示唆されていたが,どの因子がどの程度流動抵抗に影響を与えるのか明確でなかった.そこで,微小孔を通過する際の赤血球流動にシミュレーションを行い,微小孔通過時の圧力損失や赤血球の通過時間が,膜剛性,膜内外流体の粘度比の変化によってどのように影響を受けるのかを調べた.その結果,生体内で計測される赤血球の膜剛性・粘度比の範囲では,膜内外粘度比の影響が特に大きく,粘度比の増加によって微小孔通過時の圧力損失や通過時間が大きくなることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
血液連続体モデルの構築に向けて当初の予定通り,粒子応力テンソルの定量化に成功したことに加えて,本研究課題を進める中で派生した新たな研究課題(微小孔を通過する際の赤血球の運動)に対しても,膜内外流体の粘性比の変化による通過時間の変動や,膜剛性と圧力損失の関係の定量化などに成功し,一定の成果を得ることが出来たため.
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Strategy for Future Research Activity |
希薄領域から準希薄領域における連続体モデルの構築に成功したので,今後は本手法を濃厚懸濁液へと拡張し,大血管系にも適用できる血液連続体モデルの創成を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時には販売されていなかった新型のGPUデバイスが市場に出回り,購入予定であったデバイスより高性能で安価な新型のデバイスを購入したため. 平成25年度からの繰越金に関しては,ハードディスクドライブなどを購入するための物品費として計上し,計算結果の取りまとめや解析をする環境を整える計画である.
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