2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞レベルからの血流解析モデルの再構築:新たな血液連続体モデルの創成へ
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25750155
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大森 俊宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10633456)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 計算生体力学 / 細胞懸濁液 / 血液連続体モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,赤血球の細胞力学モデルから,赤血球サスペンジョンの応力テンソル,拡散テンソルを定量化することで,新たな血液連続体モデルの構築を目指すものである.前年度までに希薄,準希薄懸濁液下での応力テンソル,拡散テンソルの定量化に成功し,平成26年度では,血液連続体モデルの構築に向けた濃厚懸濁液の数値計算モデルの開発を行った.赤血球の体積率が増えることは,計算に必要な細胞数が増加す事と同値であり,非常に高い計算負荷が問題となる.特に計算時間の増加は重要な問題であり,本研究ではGPUを使った高速計算手法を開発し,計算時間の短縮を図った.これにより現実的な時間内で赤血球の流動計算を行う事が可能となり,その手法をMatsunaga et al.(J Biomech Sci Eng, 2014)にて発表した.さらに血液連続体モデルの構築へ向けて,最新の計算生体力学,実験生体力学的研究を再調査し,それらを網羅的にまとめあげ,Omori et al.(Ann Biomed Eng, 2015)にて発表した.
以上,平成26年度の研究成果を以下にまとめる. 1.懸濁液中における細胞の変形や,懸濁液の粘性応力テンソル算出のためのGPU計算手法を構築した(Matsunaga et al., J Biomech Sci Eng, 2014).
2.血液連続体モデルの構築に向けて,微小循環系における最新の計算生体力学的および実験生体力学的研究を再調査し,それらをまとめあげた(Omori et al., Ann Biomed Eng, 2015).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度では希薄な場合の血液連続体モデルの構築を行い,本年度では濃厚懸濁液を対象にした数値計算手法を構築した.希薄と濃厚の違いを議論する基盤手法が確立し,連続体モデルの構築に向けて概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した手法を元にキャピラリ数や赤血球内外流体の粘度比をパラメータに大規模パラメトリックスタディを行う予定である.
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Causes of Carryover |
購入予定であったソフトウェアが,別途フリーのもので対応出来たため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究推進に関しては特に問題はないので,予定通り課題を遂行する.本年度未使用分についてはHDDやディスプレイなどPC周辺機器の購入に充て,計算課題の円滑な遂行とデータ保存に努める.
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