2014 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ立法政策における政策形成過程の分析:スポーツ基本法の制定を事例として
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25750287
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
武田 丈太郎 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (30601017)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スポーツ基本法 / スポーツ振興法 / スポーツ立法政策 / 審議会制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、スポーツ基本法を対象としてスポーツ立法政策の政策形成過程を明らかにすることである。本年度は、スポーツ基本法とスポーツ振興法に関わる政策形成過程を比較検討した。具体的には、審議会及びヒアリング等の制度の変遷に注目し、①保健体育審議会の廃止前後の変化、②スポーツ政策の基本を定める法律の制定と審議会の関係、③スポーツ立国戦略の策定過程について分析した。 ①保健体育審議会は、1972年及び1989年の答申のように日本のスポーツ振興に重要な示唆を与えてきたが、2001年の中央省庁再編に伴って、保健体育審議会は廃止、中央教育審議会スポーツ・青少年分科会に引き継がれた。その後の同分科会の答申は、2002年及び2011年の2つであった。スポーツ・青少年分科会に引き継がれて以降、日本のスポーツ振興の基本的な方策となる答申が行なわれていないのが現状である。 ②スポーツ振興法の制定する前には、1953年6月の保体審答申、1958年3月のスポーツ振興審議会要望及び1958年12月の保体審答申においてスポーツ振興の立法措置に対する要望が出された。一方、2011年のスポーツ基本法の制定において、審議会は答申等を行わず、超党派のスポーツ議員連盟が中心に制定に向けて動いていた。 ③2010年8月に策定されたスポーツ立国戦略では、計5回のべ14名と11団体からのヒアリング調査、スポーツ・青少年分科会での2回の審議、一般国民からの意見募集のための熟議カケアイが行われた。中央教育審議会令第5条では、同分科会の所掌事務の一つとしてスポーツの振興に関する重要事項を調査審議することを掲げているが、立国戦略の過程においてはこれまでに存在していなかった方法が活用された。 以上のことから、スポーツ政策においては、審議会制度の機能低下及び政治家の積極的な関与という傾向があることを指摘できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スポーツ基本法とスポーツ振興法に関わる政策形成過程を比較検討するために、国会審議録及び文部科学省のホームページ上で公表している資料等を用いて、審議会及びヒアリング等の制度の変遷について分析した。 スポーツ基本法の草案作成の関係者に対するヒアリング調査を行なう予定でいるが、スポーツ政策が活発に動いている状況であるため、調査対象者からヒアリングできるか確定できていない。また、それに代替する調査方法については、現在検討中である。 これらの課題を残していることから、現在の達成度を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
スポーツ基本法の草案作成の過程を明らかにするために、関係者に対してヒアリング調査を行う。また、スポーツ庁の設置が決定したため、設置に関する議論についても関係資料の収集および関係者に対するヒアリング調査を行い、検討する。
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