2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒップホップダンスにおける審査員の評価に影響を与える動作特性
Project/Area Number |
25750313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 菜穂子 名古屋学院大学, リハビリテーション学部, 助教 (70581510)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リズム動作 / 位相差 / 客観的評価 |
Research Abstract |
ヒップホップダンスは若者を中心に人気があり、中学校の指導要領にも取り入れられるようになった。しかしその一方で、指導方法や客観的な評価方法は明確には示されていない。審査員の評価と関連の深い動作特性を明らかにすることができれば、客観的な評価基準を開発するための基礎的な情報となる可能性があり、また客観的な評価基準の開発は、指導方法の開発にも有用である。よって本研究では、ヒップホップダンスの基本的な動作における、審査員の評価と関連の深い動作特性を抽出することを目的とした。 当該年度においては、ヒップホップダンスの基本的な動作の1つである、全身リズム動作を課題として、モーションキャプチャシステムとメトロノームを用いて、熟練したダンサーと未熟練のダンサーの動作を測定した。モーションキャプチャシステムから得られたデータから、身体重心、身体各部の関節角度、またそれらの位相のずれを示す位相差を算出した。次に、測定したデータから全身リズム動作のスティックフィギュアアニメーションを作成し、熟練した審査員がアニメーションを見て、『うまい・下手』を10点満点で評価した。この評価結果と、算出した運動学的指標を、熟練・未熟練のダンサーで比較した。 その結果、審査員から高い評価を獲得したダンサーに共通して見られた動作の特徴は、頭部の関節角度変化の位相が、体幹・下肢の関節角度変化の位相に比べ、わずかに遅れ、そのわずかな位相差が頭部の曲線的な軌跡を生み出していることが明らかになった。頭部の曲線的な動きは、見る者にとって、好ましい滑らかな印象を与えるのではないかと考えられた。 抽出された動作特性を練習方法に応用すれば、見る者の評価を効率良く上げるための練習方法の開発が可能になり、また評価の側面から考えると、この動作特性は全身リズム動作を評価する際の、1つの評価指標となり得る可能性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、全身リズム動作の研究を中心に研究を実施する計画であった。 研究実績の概要にも記載したが、全身リズム動作において、熟練したダンサーと未熟練のダンサーの動作を比較し、それぞれの動作特性を抽出することに成功した。また、審査員が高いと評価した、熟練したダンサーに共通してみられた動作特性も抽出することができ、審査員の高い評価を獲得する動作特性を見つけ出すことができた。 これらの内容をとりまとめ、国内外の学会において、研究発表も行うことができた。また、これらの内容を中心とした研究論文を作成し、現在国際雑誌に投稿中である。 以上のことから、現在までの達成度としては、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、ヒップホップダンスの全身リズム動作以外の基本的な技術要素について研究を進めていく予定であった。しかし、全身リズム動作における体幹・下肢における関節角度、またその位相差等のデータを中心に分析を進め、国内外の学会において発表していく中で、上肢の動きについても分析をした方が良いという助言を受けた。そのため、まずは全身リズム動作について継続的に研究を進め、上肢の動きに着目し、熟練したダンサーと未熟練のダンサーの動作を比較する予定である。 その後、当初予定していた他の基本的な技術要素についても可能な限り研究を進めていく。ヒップホップダンスにおける他の技術要素は、全身リズム動作にステップなどの動きを組み合わせたものが多いため、平成25年度において分析した全身リズム動作の分析方法や得られた動作特性を参考に、他の技術要素も同様の方法で研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)