2013 Fiscal Year Research-status Report
特異な構造と高い極性を有した植物由来抗糖尿病成分の糖取り込み促進機構解析
Project/Area Number |
25750391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 英介 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40466446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 糖取り込み促進 / 筋細胞 |
Research Abstract |
本研究では糖尿病治療に有用な筋細胞の糖取り込み促進活性物質について、既知物質であるネオヘスペリドースの作用機構解析と、新規有用物質の探索を行っている。 本年度は、ネオヘスペリドースの作用機構解析に関して探る為にGLUT1,4の関与を検討した。GLUT4については発現量及び膜移行量に違いがないかを検討したがはっきりとした違いは見られず、またGLUT1に関しては発現量に差が見られず、これ以外もしくははっきりとした検出が難しい範囲の変化により複合して働いている可能性が示唆された。新規有用物質の探索については、事前に選定済みであったカキドオシ及び本年度のスクリーニングから見出された蓮芯、レモングラス、マカを対象として行った。 蓮芯からは単離例の少ないヒゲナミン配糖体を活性物質として特定した。カキドオシについては単一化合物と考えられる活性画分の精製を達成したが、常法であるNMRや質量分析では構造決定が行えていない。またICP-MSによる分析により金属であることも否定され、従来知られていない化合物である可能性が極めて高い。また、これらの研究過程においてヒドロキシアミンが活性物質として働くことを見出し、その作用機構についても解析を行った。見出した化合物は何れも糖取り込み促進活性物質として新しい知見にあたり、有用化合物として見つかったこと自体が重要な知見である。従って今後、それぞれの作用機構解析を行うことで、糖尿病治療に活用できることが期待される。レモングラス及びマカについては精製度を高めることに成功しており、各種分析から既に糖取り込み促進活性の報告例がある物質ではないことが推定されている。 以上の通り各種植物から新たな糖取り込み促進活性物質を見出すことが出来た。特に、従来知られていなかった化合物が見つかっていることから、今後の糖尿病治療への応用が期待される成果であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であったネオヘスペリドースの作用機構解析については良好な結果が得られていない。一方で、有用新規物質の探索は、当初予定であるカキドオシ以外に、数種の植物および新規の活性物質を見出している。さらに一部の化合物については翌年度以降に予定していた作用機構解析まで発展させることが出来た。従ってこちらは予定以上に進展している。これらより、総合的にはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では糖取り込み促進活性物質であるネオヘスペリドースの作用機構解析と、新規有用物質の探索を当初の目的として、そののち新規有用物質の作用機構解析に移る予定でいた。しかし、既に数種の新規有用物質を見出すことに成功している一方で、ネオヘスペリドースの作用機構解析については曖昧な結果が出ており、困難が予想される。そこで、実験計画の順番を変更し、先に蓮芯及びカキドオシから見出した糖取り込み促進物質についての研究を行う。 蓮芯の活性物質であるヒゲナミン配糖体については、関連研究を参考にすることで作用機構の一部が推定が出来ているため、まずはその確認を行い、そののち詳細を解析する。カキドオシについては構造が不明で推定できないため作用機構は主要な経路を順に検討することで行う。構造解析に関しては、現在の主流である構造解析法が適用できなかったので、古典的な誘導体化などについて検討する。 このように順番を変更することで糖取り込み促進活性についての作用経路に関する知見や解析技術の向上が期待できるため、そののちネオヘスペリドースについて再開することで、効率的な研究が期待できると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の一部に遅延が生じているため。予定以上に進展している部分もあるが、相殺するには至らなかったため、繰越額が生じている。 繰越額については、今年度計画で行う予定の新規有用物質の作用機構解析において全額使用する。
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Research Products
(6 results)