2014 Fiscal Year Research-status Report
特異な構造と高い極性を有した植物由来抗糖尿病成分の糖取り込み促進機構解析
Project/Area Number |
25750391
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 英介 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40466446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / ヒゲナミン / 不飽和脂肪酸 / ピペリン / Lepidium meyenii / Piper nigrum |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では糖尿病治療に有用な筋細胞の糖取り込み促進活性物質について新規有用物質の探索と作用機構解析を行っている。 本年度は、新規有用物質の探索を中心に研究を行っており、昨年度までに行った各種植物素材のスクリーニングより見出したマカ(Lepidium meyenii)及びコショウ(Piper nigrum)について探索研究を行った。 マカについては昨年に引き続き糖取り込み促進活性物質の精製を検討した結果、マカに特有に含まれる不飽和脂肪酸類がその活性に大きく寄与していることが判明した。更に含有量が大きく、活性への寄与度の高い脂肪酸についての構造を、GC-MS法とNMR法により決定することができた。現在は作用機構の解析を行うとともに、他に含有されている各種の脂肪酸の網羅的な構造解析を試みているところである。 コショウについても活性物質の単離構造決定を試みた結果、ピペリンを活性物質として得ることに成功した。さらにピペリンの作用機構解析を試みた結果、現在糖尿病治療薬として用いられている化合物のうち、インスリン、メトホルミンとは異なる経路を利用していることを明らかとしている。現在他の作用機構について検討するとともに、ピペリン以外に含まれている活性物質の構造解析も行っている。 また昨年度単離した蓮芯由来の糖取り込み促進活性物質であるヒゲナミン配糖体については作用機構解析の結果、こちらもインスリンやメトホルミンとは異なる経路を利用しており、β2‐アドレナリン受容体を活性化する機能を有していることを明らかとした。 マカ、コショウから単離された脂肪酸やピペリンが、抗糖尿病作用を有することを示したのは本研究が初めてである。またβ2‐アドレナリン受容体のアゴニストは、抗糖尿病治療薬としても期待されている化合物であるが、ヒゲナミン配糖体がそのような機能を有していることを示したのも初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は新たな糖取り込み促進活性を有する化合物を二つ単離構造決定するとともに、その作用機構を一部解析することができた。また昨年単離した化合物の作用機構解析を達成した。これらのことは交付申請書の記載に沿っており、順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな糖取り込み促進活性物質の探索とその作用機構解析は現在順調に進展しているため、引き続きそれらを行っていく。特にマカ、コショウから単離構造決定を行った活性物質は、既存の糖尿病治療薬とは異なる機構が期待できることから、これらを中心に研究を行う。 マカについては、既に構造を決定した不飽和脂肪酸についての作用機構の解析を行い、その有用性をさらに明らかとする。また、マカに他に含有されている各種の脂肪酸の網羅的な構造解析を試みる事で、この生物活性がマカ脂肪酸に特有の機能であるのかどうかについて明らかとする。コショウについても、マカと同様の方針で行う予定である。 さらに余裕がある場合には、スクリーニングから見出している他の活性を示す植物についても、糖取り込み促進活性物質の探索研究を進展させていく。
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