2014 Fiscal Year Research-status Report
木彫像の3Dデータによる図面再現と模刻研究による検証―平安後期~鎌倉期
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25770032
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
鈴木 篤 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 助教 (90620873)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 図面 / 3Dデータ / 投影図 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、25年度に取得した子神像の3Dデータ解析に取り組んだ。 その結果、現状の子神像の姿勢を3Dデータ上で投影図化し左斜め後方に傾けると、目視で確認できる子神像表面に現れている木材の接合痕とほぼ一致した。このデータから、彫刻作業前の角材であった状況の木取り想定図を作成することができた。そして同十二神将のうち最も関係性が高い丑神像と比較する上で基準となる図面が得られたとともに、この子神像に用いられた木材に想定される規格寸法(主要な体幹部材が5寸×7寸の太さの角材2材で構成)を割り出すことができた。また、古典木彫像の図面使用の可能性を示す基礎資料が作成できた。これにより、想定図面から丑神像の模刻実験を行う準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度に予定していた模刻研究だが、子神像の3Dデータによる投影図から、想定される図面を綿密に解析した結果、制作時に木彫像の姿勢が改変されていた可能性が示された。 そのため、子神像から得られた図面を改変して作る丑神像模刻実験の成果をより充実させるため、丑神像の図面作成をする上で基礎資料となる子神像の正確な想定図面作成に努めた。その結果、丑神像の模刻研究は27年度となったが、子神像の当初の木取想定図などを作成することができ、丑神像の模刻実験を行う上の基礎資料を充実させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、東大寺丑神像の3D計測調査及び熟覧調査を行い、子神像から作成した想定図面で制作した丑神模刻像と、原本像との差異を、取得した3Dデータ上で検証する。 また模刻制作終了後、3Dデータ上で子神・丑神の比較を行い、その差異と模刻制作で発生した差異との関連性も検証する予定。
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Causes of Carryover |
模刻制作実験の準備作業が必要となり、次年度に実制作を持ち越したため。 そのため謝金等を平成27年度の予算と合算して模刻制作費用に充当する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
丑神像の模刻実験を実施する際の謝金として充当するほか、調査対象である東大寺十二神将のうち丑神像の3D計測調査を実施する。このデータは、模刻制作後に模刻実験像との比較資料とする。なお残金は最終年度の報告書作成費用に充当する。
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