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2013 Fiscal Year Research-status Report

録音から辿る19世紀の演奏様式

Research Project

Project/Area Number 25770065
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionFukuoka Prefectural University

Principal Investigator

鷲野 彰子  福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (20625305)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2015-03-31
Keywords録音 / 演奏法 / 19世紀の音楽 / ブラームスの書法 / シューマンの書法 / ズレ(dislocation) / 音価 / アルペジオ
Research Abstract

本研究は、19世紀の演奏法、特に演奏のタイミングが、どのように楽譜に表記されているかについて、20世紀初期以前の演奏録音をもとに明らかにしようとするものである。
作曲家が譜面に多種多様な音価を駆使して表記したにも関わらず、その当時の演奏家は往々にして書かれた音価通りには演奏していない。また、アルペジオ表示の有無にかかわらず、演奏家はアルペジオを付加したり、あるいは無視して演奏している。彼らにとって作曲家の示した音価はどれほど絶対的なものであったのだろうか。作曲家の細やかな表記は徒労に帰したのであろうか。だが、彼らの演奏は、より楽譜に「忠実に」演奏しているはずである私たち現代の演奏家の演奏よりも、説得力があり、より作曲家の意図がよく読み取られた演奏に聴こえることは少なくない。私たちは楽譜に書かれた内容を「忠実に」読み取っているつもりであるにも関わらず、何か根本的に楽譜の読み取り方を誤っている部分があるのではないだろうか。
本研究では、当時の演奏家たちがどのように演奏したのかを楽譜と比較することで、彼らがどのように楽譜を読み取り、演奏したのかを解明しようとするものである。当該年度はブラームスの作品を中心に研究を進めてきたが、ブラームスと音楽的に深い交流のあった演奏家たちの演奏と彼の楽譜を照らし合わせてみることで明らかになったのは、ブラームスが、彼特有の書法をもって、非常に「明確な」示唆をしていることである。そして、その示唆の読み取り方が今や失われてしまっていたことである。
今後、ブラームスの書法とその演奏法をひとつのモデル/皮切りとして、シューマンやメンデルスゾーンをはじめとする19世紀の他の作曲家の作品においても、彼らの書法の特徴とそれらの読み取られ方を明らかにし、19世紀当時の楽譜(書法)の解読方法、特に音価の表記と実際に行われる演奏の関係性について明らかにしたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の終了時までに、19世紀の作曲家全般にかかわる演奏法を明らかにしたいと考えているが、初年度は演奏家と作曲家の関係性等のリサーチに時間を要し、演奏法については、ほぼブラームスのみを取り組むに止まった。だが、ブラームスの書法とその演奏法に関しては、予想以上に、彼が楽譜に示唆した意味合いの解明方法をかなり具体的に把握でき、今後行う他の作曲家の場合を考える上での試金石を得たといえる。
以上のことから、研究の進捗状況は概ね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

昨年度の研究で得た、ブラームスの書法とその解読方法をモデルとし、今後は、より多くの19世紀の作曲家の書法とその演奏法を明らかにしていきたい。
まずは、ブラームスの書法と少なからず共通点があると考えられるシューマンの作品、そしてメンデルスゾーンやヨアヒムといった彼らの周辺の作曲家の作品について、ブラームスと同様の楽譜の解読方法が通用するのか、あるいは別の読み取り方がなされるべきなのかを明らかにしたい。その後、そのサークル以外の作曲家の場合についても同様の分析を行いたいと考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成26年度夏期に海外調査を行う予定があると共に、年度末にはモノグラフをまとめる予定があり、より多くの金額を残しておく必要が生じたため。
主な支出予定は、海外調査及びモノグラフ作成だが、必要に応じて書籍や楽譜、録音の入手も随時行う予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] ブラームスとアルペジオ: 当時の演奏から楽譜上に現れた/現れなかったアルペジオの意味合いを読み解く2014

    • Author(s)
      鷲野彰子
    • Journal Title

      福岡県立大学人間社会学部紀要

      Volume: 第22巻第2号 Pages: 77-102

  • [Journal Article] ブラームスが想定した《Op.117-1》の演奏はいかなるものであったのか: 「ズレ」が表現するもの2013

    • Author(s)
      鷲野彰子
    • Journal Title

      福岡県立大学人間社会学部紀要

      Volume: 第22巻第1号 Pages: 55-67

  • [Presentation] 「ズレ」た演奏: 録音(1900-1920年頃)からブラームスの後期小品集を再考する

    • Author(s)
      鷲野彰子
    • Organizer
      日本音楽表現学会
    • Place of Presentation
      いわて県民情報交流センター アイーナ

URL: 

Published: 2015-05-28  

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