2014 Fiscal Year Research-status Report
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25770242
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
松田 忍 昭和女子大学, 人間文化学部, 講師 (00621070)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新生活運動 / 生活改善運動 / 日本政治史 / 東アジア近現代史 / 戦後史 / 佐藤新興生活館 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)論文「新生活運動から考えるアジアの戦後)」(李廷德、安勝澤共編『東アジア日記研究と近代の再構成』(2014年、原題はハングルであるが文字化けするため日本語で記載した)を執筆した。2014年3月6日に全北大学で開催されたInternational Conference ‘Modernization and Diary in East Asia’における報告内容をベースにし、当日の質疑応答をふまえて、論文としてまとめたものである。日本の新生活運動を支えたエネルギーを分析することによって、東アジア諸国で同時期に発生した「生活運動」と比較研究しうる可能性が生まれることを論じた。 (2)単著書『ブックレット近代文化研究叢書11 雑誌『生活』の六〇年―佐藤新興生活館から日本生活協会へ―』(昭和女子大学近代文化研究所、2015年3月)を刊行した。1935年から1994年まで刊行された雑誌『生活』を分析することにより、戦前、戦時、戦後の生活運動の連続と断続を明らかにした。 (3)東アジア史研究者との交流を積極的に深め、2015年11月に史学会大会にて開催予定のシンポジウム「1930年代東アジアにおける生活運動比較の可能性」(仮題)の準備を進めている。同シンポジウムでは日本史研究者、朝鮮史研究者、中国史研究者を報告者として招き、比較研究の可能性を論じる予定である。具体的には、昭和女子大学近代文化研究所所員として、深町英夫氏(中央大学・中国史)を招く勉強会を企画し、2014年11月26日に開催した。同氏は「日本化しない中国:国民党政権の新生活運動」と題する報告を行い、問題意識の共有を図った。また朝鮮史研究者の井上和枝氏(鹿児島国際大学)との連絡を密に取り、シンポジウムの準備を進めている。、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)研究計画の総論部にかかげた「戦後新生活運動研究で獲得した研究視角を戦前へとさかのぼらせ」る点について、雑誌『生活』の分析をおこない、短期間で単著書を刊行することができたことは、当初予定していた研究計画を超える成果であると考える。 (2)『安積得也関係文書』の刊行にこぎつけ、研究目的の2番目に関しては達成度100%となった。 (3)研究計画の3番目にあげた、東アジア研究者との共同研究体制を構築し、新生活運動の国際比較をすることは、一番難関であると考えていたが、当初の予想を大きく超えて順調に進んでいる。韓国研究財団から助成を受ける韓国の共同研究チーム「個人記録の社会科学」に共同研究員として参加し、韓国、中国、台湾、ベトナムなど各国の人類学、歴史学、社会学研究者とお互いの問題関心を話し合い、東アジアの比較研究をおこなうための土台を築きつつある。 (4)(3)が順調に進み、比較研究のために、多くの議論と研究の必要が生まれたことにより、研究計画の2番目であった沖縄の新生活運動の実態分析については、エフォートをほぼかけられない状況となっている。ただ沖縄の新生活運動分析は東アジアにおける生活運動比較の土台としておこなう予定であったため、当初の研究計画の大枠としては維持している。
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Strategy for Future Research Activity |
完成年度となる2015年度の研究計画は下記の通りである。 (1)韓国の共同研究チーム「個人記録の社会科学」との共同研究をさらに進める。2015年4月(韓国・全北大学)、2015年9月(韓国・全北大学)、2016年3月(中国・北京)での国際学術会議に出席する予定であり、3回のうち2回で学術報告を担当する。本書類執筆時点において、すでに2015年4月15日に開催された国際学術会議「生活の近代化を見る東アジアの視線と現実認識」において、「1930年代における新興生活運動の変質から考える」と題する報告を行っている。 (2)2015年4月15日に報告した「1930年代における新興生活運動の変質から考える」((1)に記載)について、2015年9月~10月頃に原稿をとりまとめ、共著書を刊行する。 (3)昭和女子大学『紀要』に、雑誌『生活』における家族観の変遷をまとめた論考を発表する。 (4)2015年11月に史学会にて、シンポジウム「1930年代東アジアにおける生活運動比較の可能性」(仮題)を企画開催し、研究計画の主要目的である新生活運動の国際比較に関する研究成果を発表する。
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Causes of Carryover |
沖縄への史料調査を進める予定であったが、東アジア地域の研究者との研究面での交流が予想以上に進展したため、日数を割くことができなかった。また研究面での交流は費用は先方負担となったため、旅費が余ることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シンポジウムの開催準備および沖縄への史料調査に支出する予定である。
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Research Products
(2 results)