2013 Fiscal Year Research-status Report
帝政期ドイツの帝国議会における選挙違反行為の実態分析とミリュー論の再検討
Project/Area Number |
25770266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
小原 淳 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20386577)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドイツ / 帝政期 / 帝国議会 / ビスマルク / ミリュー論 / 政治文化 |
Research Abstract |
研究期間の初年度にあたる2013年度は、当初の研究予定であった、ドイツ帝国における普通選挙制度の成立過程と制度の詳細、そして全国規模での選挙違反行為の総体的な把握に取り組んだ。そのために、当該分野の先行研究、帝国議会議事録、そして普通選挙制度を実現したビスマルクに関する最新の関連文献等を精読した。 その成果として、まず、ビスマルクについての最新の詳細な研究書を訳出し出版した(J・スタインバーグ『ビスマルク』上・下巻、白水社、2013 年8月)。同書は、ドイツ帝国議会とその選挙制度の実現に際してのビスマルクの思惑や当時の政治情勢、そして本研究が対象とする帝政期ドイツの政治、社会状況を総体的に論じている。また、「ナッハメルツの革命家群像」ドイツ現代史研究会『ゲシヒテ』(単著、第7号、2014年3月)では、ドイツで短期間ながら初めて普通選挙制が導入された1848/49年革命期の政治体験がどのように帝政期に継承されていったかを論じ、「国民形成と身体文化」スポーツ史学会第27回大会シンポジウム報告書『ドイツスポーツ史研究の今日的課題』(単著、2014年3月)では、従来の研究テーマであったトゥルネン運動が、帝国選挙を含む地域社会の政治に及ぼした影響について論及した。さらに、「書評、松本彰『記念碑に刻まれたドイツ―戦争・革命・統一―』(東京大学出版会、2012年)」現代史研究会『現代史研究』(単著、第59号、2013 年12月)では、関連する最近年の研究書についての評価、批判を行った。 以上の研究により、帝政期のドイツの全般的な政治状況、そして帝国議会における選挙違反行為の概況についての理解が相当まで得られ、翌年度以降の研究のための基礎が作られたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スタインバーグ『ビスマルク』の訳出に相当の時間が必要であったこと、関連する研究が増加しており、それらのフォローにも時間がかかったこと等により、予定していた史料収集作業を完成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度以降も引き続き、計画書に沿った研究活動を行う。ただし、2013年度に十分に達成できなかった史料収集活動、また選挙違反行為の総体的なあり方を示す研究報告という二点は、計画書に記載した課題に加えて実行しなければならない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた旅費の使用が不十分であったため。 2014年度の旅費として使用する。
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