2016 Fiscal Year Annual Research Report
analysis about the situation of the electoral frauds in German Reichstag's elections and reconsideration about the milieu theory
Project/Area Number |
25770266
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
小原 淳 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (20386577)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ドイツ / 帝政期 / 帝国議会 / ビスマルク / ミリュー論 / 政治文化 / マルクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、帝政期ドイツ(1871~1918年)の全国議会である帝国議会における選挙違反行為を、一次史料に基づいて分析し、当該期の政治的構造を説明する理論として支配的な「ミリュー論」を再検討した。 初年度の平成25年度は、ドイツ帝国全体での選挙違反行為の総体的な把握を課題とし、帝国議会に提出された請願書や担当委員会の調査報告を分析し、全国規模の動向を考察した。また、これに関連して、選挙制度に関する制度や細則の詳細も確認した。 二年目の平成26年度は、選挙違反行為の選挙区レベルでの実態と、その背景にある地域社会内部の政治的力学関係、政治行動のパターンの解明に取り組み、ミュンヒェン、フランクフルト・アム・マインの両都市とその周辺地域を対象として、史料の収集、整理、分析を行った。 三年目の平成27年度は、ライプツィヒ、ブレスラウの両都市とその周辺地域を対象に、引き続き地域レベルでの考察のために、史料の収集、精読と分析を行った。 最終年度の平成28年度は、それまでに達成できなかった史料・文献の収集、精読を行うとともに、これまでの研究を総括し、近代ドイツにおける政治・社会構造を説明するうえで、これまで大きな影響力を有してきた理論であるミリュー論の検討を試みた。その結果、西部・南部地域のカトリック勢力、都市部・労働者層の社会主義勢力、都市部・中上層市民の自由主義勢力、農村部の保守勢力の四分類に基づいて近現代ドイツ政治史を説明する静態的なミリュー論が、ミリュー内部の多様性やミリュー相互の重なり合いを示す具体的な歴史事象を看過しており、その結果としてナチズムに至る歴史的展開を十分に捕捉できない可能性があることを明らかにした。 研究期間中は、複数の書籍の出版、論文執筆、学会報告を行い、成果の報告に努めた。
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