2013 Fiscal Year Research-status Report
造船・港湾運送業のグローバルな空間編成とローカルな場所の動態に関する地理学的研究
Project/Area Number |
25770298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原口 剛 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (40464599)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 造船業 / 港湾運送業 / 空間 / 場所 / グローバル / ローカル / 労働の地理学 |
Research Abstract |
本研究は、戦後の造船業・港湾運送業という港湾産業に着目し、資本のグローバルな空間編成過程とローカルな場所の社会文化の変容との相互関係を明らかにすることを目的とするものである。平成25年度においては、主として日本の戦後造船業史に関する文献や資料の収集・フォローを行なった。また、大阪の木津川沿いの旧「川筋造船」を対象とした文献調査を実施するとともに、「川筋造船」と寄せ場・釜ヶ崎との関連性を示す資料の収集を行なった。 本研究の独自性のひとつは、International Institute of Social Hsistory(IISH)の主催する共同プロジェクトの一環として進めることにより、研究成果を逐次的に海外へと発信しつつ、世界各地の研究者と議論を交わしつつ洗練させるという点にある。平成25年度においては、5月にアムステルダムにて開催されたIISH主催の国際会議において研究成果のプレゼンテーションを行なった。その後もe-mailをつうじて世界各地で調査研究を進める研究者との情報交換を継続しながら研究活動を行なった。 また、上記の研究活動と並行して、他の山谷や笹島といった寄せ場地域に対する調査研究を、聞き取り調査を中心として実施した。そのことにより、本研究の中心的対象地域である大阪の寄せ場・釜ヶ崎が有する固有性を比較的な視座から明らかにするうえで、重要な知見を得ることができた。 さらには、欧米を中心とした地理学理論の書籍を収集し、それらの視点を積極的に吸収することにより、上述した経験的調査を最新の地理学の議論へと接続させる試みを積み重ねた。 以上のように、国内外の研究者と連携しつつ、また最新の地理学理論を吸収することで、国内的のみならず国際的な視座にたった研究活動を展開し、研究活動を着実に進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね当初の研究計画どおりに研究活動を進めることができた。とりわけ、5月にIISHが主催するアムステルダムにおける国際会議において研究成果を報告するという課題を達成することができたことは、本研究にとって大きな進捗であったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大阪における「木津川」を中心とした港湾地域の調査研究を引き続き継続・深化させると同時に、比較研究的な視座をいっそう深めていく。具体的には、国際会議に積極的に参加し、研究成果のプレゼンテーションを行ないながら世界各地の研究者と意見を交わしつつ研究活動を進め、加えて研究成果を洋書に寄稿することで国際的で発信していくことを目指す。 これと並行して、前年度に引き続き、寄せ場地域と造船・港湾運送業との関連を示す資料収集及び聞き取り調査をさらに深めていく。さらに、これらの研究から得られた成果は、国内の地理学会において報告し、論文として寄稿する。
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Research Products
(4 results)