2015 Fiscal Year Research-status Report
テロ資金供与防止条約による国際取引への影響-日韓米三国間の金融手続を事例に
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25780032
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
金 惠京 日本大学, 付置研究所, 准教授 (30638169)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テロ / 国際法 / 資金移動 / マネーロンダリング / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は2015年11月にパリにて同時多発テロが発生し、「イスラム国」の進捗、大量の難民の発生による混乱など、これまで国際社会が抱えてきた課題が明確な形となって表れた面がある。そうした状況を鑑み、本年度は平成25年度および26年度における研究成果を踏まえつつ、現在のテロが有する背景や、アジアにおける課題などを一般読者に分かる形で解説を行い、著作として発表することを第一に考えた。 そうした経緯の中で、2016年1月に『無差別テロ-国際社会はどう対処すればよいか』を岩波書店より刊行することとなったが、同書は刊行後から「日本経済新聞」「東京新聞」『週刊ダイヤモンド』など(その他、数十万部単位で発行されている複数の機関紙や地方紙でも紹介)にて書評が掲載され、本文の内容や刊行の意図が多くの人の目に留まることとなり、当初の目的を達することができたと考えている。 また、本年度は韓国の「大韓国際法学会」において「テロ対策における国際刑事法上の課題-日本と韓国の共謀罪受容を事例に」を発表し、論文集『国際法の懸案と対応-2015国際法学者大会』でも同内容が韓国語にて掲載されるとの成果を上げることができた。韓国においては北朝鮮との対立が半世紀以上に及んでおり、プライバシーよりも、テロ対策が優先される現状がある。その中で、日本における法に関わる対立(共謀罪設置に伴う国際法と国内法の理念上の対立)を見ることで、日韓両国の法的な相違を明示化することができた。これは英語論文“International Criminal Law Issues in the Fight against Terrorism: The Criminalisation of Conspiracy in Japan and South Korea”の成果に韓国の内容を大幅に加筆して発展させたものであり、調査ならびに成果報告を複数言語で行うことのできる自分の特性が生かされたものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、平成27年度に予定していたアメリカでの調査は継続しており、資料は既に蓄積されている。論文の作成自体は、平成28年度に行うこととした。その点においては、本研究は遅れが見られる部分がある。 一方で、当初の計画においては平成25-27年度の成果を28年度にまとめることを予定していたものの、平成25年度および平成26年度の成果は2016年1月刊行の『無差別テロ』にて社会に還元できた部分が多い。その点においては、平成28年度以降に考えていた成果報告の一部は学術レベル以外においては、既に完了できたものと捉えている。換言すれば、平成28年度の内容をやや前倒しして平成27年度に行い、平成27年度に予定していた内容を平成28年度前半に持ち越した状況があり、研究期間全体として見た場合、順調に進展していると捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカにおける資金移動の課題については、夏までに資料整理、および論文作成を終え、論文を秋にかけて掲載する予定である。その後、以前の論考「国際取引における不正な資金移動規制に関する一考察-テロ対策受容における日本の課題」(2014)および「韓国におけるマネーロンダリング関連法の特性-国際的要請への転換がもたらした効果」(2015)、“International Criminal Law Issues in the Fight against Terrorism: The Criminalisation of Conspiracy in Japan and South Korea”(2015)の内容を最新の内容に更新し、アメリカの資金移動の状況、および国際法・国際関係学の視座をもって三ヶ国の状況を比較検討する。 また、科研費の申請段階では明らかになっていなかった①アメリカ政府による秘密裡の監視体制の構築、②2016年3月の韓国における「国民保護と公共の安全のためのテロ防止法」(テロ防止法)の成立、③“日本版NSC”と呼ばれる「国家安全保障会議」の設置など、テロを巡る状況は大きな変化を見せている。研究を進める中で得ることが出来た知見と、その後の動向の変化をすり合わせ、包括性の高い論考あるいは全体をまとめた著書として、発表を行うことを平成28年度の後半から実行していく。
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Causes of Carryover |
アメリカへの調査行程が平成28年度に持ち越され、ノートパソコンの購入が平成27年度から平成28年度になったことから差額が生じている。それらの支出は年度始めの2ヶ月でまず行われる予定であり、研究上の日程変更に拠るものといえる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在の計画に加えて、韓国において2016年3月にテロ防止法が成立したことにより、現地調査も行う予定である。その際の支出などを考えると、使用額が生じても最終的な収支としては適切なものとなると考えている。
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