2016 Fiscal Year Annual Research Report
International Transactions Affected by the Terrorist Financing Convention - Using Trilateral Financial Procedures among Japan, South Korea, and the USA as an example
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25780032
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
金 惠京 日本大学, 危機管理学部, 准教授 (30638169)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テロリズム / マネー・ロンダリング / 国際法 / 法実現 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、アメリカにおけるマネー・ロンダリング対策の歴史的経緯の整理、および課題の背景について検討し、詳細は金(2017)にまとめた。同論文では、アメリカの対策が国際社会や関係条約を先導し続けていることを明らかにした。また、同論文ではアメリカにおいて公的なシステム上の法整備は充実しているものの、国内にマネー・ロンダリングと極めて親和性の高い年間10兆円規模の違法薬物市場が存在していることにも注目した。21世紀に入り、国際的にテロ資金とマネー・ロンダリングの関係が指摘される中で、1970年代以来、アメリカが薬物との戦い(War on Drugs)に失敗し続けていることは、大きな抜け穴の存在を意味している。 当初、本研究では「マネー・ロンダリングに係る法律が社会に影響を与え、その中で一般の市民が負担を増大させる構造がある」との仮説を立てていた。しかし、日本についての金(2014)、韓国についての金(2015)を通じて、逆に社会の課題が法に影響を与えている構造の方が、少なくともマネー・ロンダリングについては強いことが見えてきた。具体的には、日本では反社会的勢力と金融機関との関係、韓国では政治経済の諸分野における汚職がマネー・ロンダリング対策、及び社会全体を通じた課題となっている。韓国では、本年度に大統領が汚職によって罷免される状況も発生し、課題が改めて明らかとなった。 また、本研究の成果が有する重要性としては、現在、マネー・ロンダリング対策が対象範囲を広げる中で、そうした対策と社会が持つ課題との関連が強いとの事実を日韓米三ヶ国を通じて明示できたことが挙げられる。テロ資金は記載外の取引に入り込み易い。その点から考えれば、本年度にアメリカのマネー・ロンダリング対策と薬物問題の関連を指摘できたことは、今後の対策を検討する上で一定の貢献となったといえる。
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