2013 Fiscal Year Research-status Report
労働市場規制としての労働法と潜在能力アプローチに関する研究
Project/Area Number |
25780039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
石田 信平 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (20506513)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 労働市場規制 / 潜在能力アプローチ / 就労の価値 / 労働者の参加 / 労働者による熟議 |
Research Abstract |
平成25年度は、イギリスにおいて近時展開されている労働市場規制論について検討を深め、その成果の一端を公表した(拙稿「労働法の目的、対象、手法の新展開―イギリス労働法学における労働市場規制論に焦点を当てて―」Rietiディスカッション・ペーパー13-J-030)。 さらに、労働市場規制における労働者の参加や熟議の重要性に視点を向けた議論につき、イギリス労働法学の最新の動向を考察し、わが国の憲法28条の意義を加味して論考にとりまとめた(拙稿「憲法28条と労働組合の政治的機能――熟議空間の形成と労働者の参加権に関するイギリス労働法学の議論を手掛かりとした一考察」季刊労働法241号206頁)。 イギリスの労働市場規制論は、現代社会における就労の社会的、経済的、人格的意義に目を向けた議論である。教育制度や社会保障制度、家族制度など、労働市場を補完する制度も視野に入れつつ、就労の価値を基点とした新たな規範的基礎を見出すものである。もとより就労の価値は、各人によって多様である。そのため、労働市場規制論は、労働者の参加や熟議による労働者自身による価値形成を重視する。平成25年度に公表した上記拙稿を通じて、こうした労働市場規制論の特徴と意義を明らかにすることができた。 なお、平成25年度はイギリスに調査に赴き、zero hours contractsの増加といったイギリス労働市場における新たな問題事象について情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、これまで取り組んできた研究テーマ(労働市場規制としての労働法と潜在能力アプローチ)に関して、一定の研究成果を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、古代ローマから現代に至るまで、就労や労働がどのように把握され、また法的にどのように構成されてきたか、について検討を深めることとしたい。当初の予定では、オーストラリアに調査に赴くことを予定していたが、研究費の都合上困難であるため、今年度は、歴史研究に集中することとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月は研究費の決済ができないために、未使用額が生じた。 書籍類の購入に充てたい。
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