2014 Fiscal Year Research-status Report
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25780062
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
デ アウカンタラ マルセロ お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (20565676)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 民事法学 / 親子関係 / 身分関係 / 代理母 / 国際代理懐胎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2年目となる平成26年度は、初年度に引き続き、「1. 国境を越える代理懐胎と外国裁判所での子の身分関係の保護に関する研究」を行い、その中でも主に「1.2. フランスにおける対応」状況の整理を試みた。外国で合法的に実施された有償の代理懐胎から生まれた子どもがフランスに帰国する際に、その身分関係がどのように保障されているのかについて分析するため、フランス国内の図書館を利用してフランスにおける代理懐胎に関する文献を収集し、データベース上の重要な判例を多数入手することができた。また、“La gestation pour autrui”と題する本の著者であるパリ第1大学法学部の教授と意見交換を行い、フランスにおける代理懐胎をめぐる最近の裁判例や立法、学説の動向に関する重要な情報を得ることができ、フランスが直面している課題について把握することができた。 なお、初年度に得られた成果を2014年8月にブラジルのレシフェにて開催された第15回国際家族法学会学術大会で発表した。外国で合法的に実施された代理懐胎の法的効果、とりわけ子どもの身分関係が依頼者夫婦の自国で承認されるか否かを判断するために、自国の裁判所がどのような点に留意しているのかという問題について、イギリスにおける国際代理懐胎をめぐる裁判例を手掛かりとして、検討を行った。子どもの福祉という要素を重視するイギリスと比較検討するために、公序良俗という要素を重視する国としてフランスなどの裁判例を取り上げ、さらに国際代理懐胎問題に関するヨーロッパ人権裁判所の初めての判断(2014年6月26日のMennesson v. France判決およびLabassee v. France判決)についても触れた。学会の参加者から質問や指摘を受けることもでき、研究の進展のために有意義であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を構成する研究項目のうち、平成25年度においては「1. 国境を越える代理懐胎と外国裁判所での子の身分関係の保護に関する研究」「1.1. イギリスにおける対応」を、平成26年度においては「1.2. フランスにおける対応」を、当初の計画通りに行った。イギリスおよびフランスにおける対応状況に焦点を当てて、国際代理懐胎の関連資料・判例を収集し、分析を行った。全体として順調に計画を進めることができており、平成27年度も計画通りに進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、これまでの研究遂行上の問題はなく、研究計画に大きな変更は必要ないと考えている。平成25年度にイギリス、平成26年度にフランスと、これまでに代理懐胎に関する多くの裁判例が蓄積されてきた両国を中心に研究を行った。「子どもの福祉」という要素を重視するイギリスの考え方と「公序良俗」という要素を重視するフランスの考え方との関係や動向について分析し、理解を深めることができた。平成27年度は、前述の2つの考え方を調整しようとするものである国際代理懐胎条約を中心に研究を行う。ハーグ国際私法会議において行われている国際代理懐胎条約のための準備作業に関連した報告書や意見書などの資料・文献の収集を行い、検討する。また、ハーグ国際私法会議に所属するスタッフ等に直接会い、研究上の示唆を得るように心がけたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究が効率的に推進したことにより未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の未使用額を平成27年度の研究遂行に使用する予定である。平成27年度の使用計画は以下のとおりである。国際私法・民法・代理懐胎に関する基本文献等の書籍の購入を行う予定である。また、ハーグ国際私法会議にて資料収集・意見交換のため、外国出張(オランダ)を行う予定である。
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