2016 Fiscal Year Annual Research Report
International Surrogacy and the Protection of Children's Legal Status
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25780062
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
デ アウカンタラ マルセロ お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (20565676)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 民事法学 / 親子関係 / 身分関係 / 代理母 / 国際代理懐胎 / 生殖補助医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の最終年度であった平成28年度は、「1. 国境を越える代理懐胎と外国裁判所での子の身分関係の保護に関する研究」および「2. 国際代理懐胎条約に関する研究」を全面的にまとめ、総括を行った。 「1. 国境を越える代理懐胎と外国裁判所での子の身分関係の保護に関する研究」においては、特にヨーロッパ人権裁判所における最新の動向を検討した。2017年1月24日にはParadiso and Campanelli v. Italy判決(大法廷)が下され、2014年6月26日に下されたMennesson v. France判決およびLabassee v. France判決からの変化が見られた。そこで、外国で合法的に実施された代理懐胎から生まれた子どもについて、その身分関係が依頼者夫婦の自国で承認されるか否かを判断するにあたって、子どもと依頼者夫婦との遺伝的なつながりの有無がどのように考慮されるか等について検討した。 また、昨年度に引き続き、「2. 国際代理懐胎条約に関する研究」において資料や文献の整理作業を行い、子どもの身分関係保護の観点から国際代理懐胎条約が実現される可能性等について検討した。現在、ハーグ国際私法会議で国際代理懐胎条約のための準備作業が進んでおり、2017年2月の時点では、外国裁判所での法的親子関係に関する確定判決の承認を目的とする多数国間条約は実現可能であると意見が一致している。しかし、「子どもの福祉」と「公序良俗」という対立する要素のバランスなど、検討すべき課題が残されており、さらに議論を深める必要があるという点でも合意している。 国境を越える代理懐胎は国際的な問題として捉えられ、意識も高まってきている一方で、国際的な共通基準を設定するためには多くの困難が生じるということも明らかになった。
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