2014 Fiscal Year Research-status Report
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25780130
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤生 源子 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (80431394)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済成長 / 産業構造 / 経済動学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、経済成長における産業の役割を明示的にモデル化し、産業の興隆や衰退が経済の変動に与える影響を考察することである。昨年度に引き続き、平成26年度も複数部門からなる最適経済成長モデルに産業構造の変化を導入することを目的として研究を進めた。 簡単なケースとして、産業の違いを資本集約度(労働1単位あたりの資本量)で表し、複数の産業が存在し、それぞれの資本集約度が時間を通じて一定の場合における最適経路について分析した。その結果、資本集約度の外生的な変化(産業構造の変化)によって、産業間の相対的な資本集約度が変化し、最適経路が安定的になる場合、サイクルが起こる場合など、最適経路が複雑になることが明らかになった。また資本集約度に大きく差がある場合は最適経路は安定的となり、差が小さくなるにつれて、最適経路がより複雑になる可能性があることが分かった。これらの結果については、現在論文としてまとめているところである。産業の資本集約度がモデルの中で内生的に決まるケースについても考察を進めている。 これまで考察してきたモデルでは、暗に1つの産業内には同質の企業が多数存在している、もしくは1つの産業が1つの企業のみからなることを仮定してきた。しかし現実の経済を考えると、複数の異質な企業が存在するケースへの拡張が必須であり、この点については既存研究(Klette and Kortum(2004, Journal of Political Economy), Melitz(2003, Econometrica))を参考にしながら産業内で生産性の異なる企業が存在する場合についても拡張を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では産業の違いを資本集約度の違いで表し、産業構造の変化を相対的な資本集約度の変化として捉えることを想定して分析を進めていた。しかし、2部門経済成長モデルにおいて2部門間の相対的な資本集約度を内生的に導出するためには、モデルを一般化する必要があり、最適経路の複雑化は避けられず、分析手法に工夫が必要となり研究が遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究課題の最終年度にあたるため、これまでの研究結果を論文として完成させることを第一の目的とする。また、複数の異質な企業からなる産業を経済成長モデルに組み込み、産業内の変化が経済成長にどのような影響をもたらすか、需要側から引き起こされる産業の衰退をどのように経済成長モデルに組み込めるか等、当初計画していた研究課題について結果が出せるようにモデルの簡略化等を行いたい。
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Causes of Carryover |
年度末にワークショップを開催し謝金として使用した額が当初予定していた額よりも少なかったため、残金は次年度使用額とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費、人件費等に充てる予定である。
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