2013 Fiscal Year Research-status Report
19・20世紀華北におけるドイツ帝国主義と鉄道事業――グローバル化の視点から
Project/Area Number |
25780220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
浅田 進史 駒澤大学, 経済学部, 准教授 (30447312)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ドイツ / 中国 / 鉄道 / 山東 / 帝国主義 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀末から20世紀初頭にかけてドイツ資本によって建設・運営された華北地域の鉄道事業、とくに山東鉄道事業を、未公刊史料・同時代文献に基づいて分析するものである。その際、①世界市場向けの輸出商品であった山東物産をめぐる物流競争との関係、②ドイツ東アジア商社と中国商人との関係、③この鉄道事業をめぐるドイツ・中国の政治・経済的主体間の拮抗、の3つの論点からアプローチする。 本年度の主眼は、ベルリン・リヒターフェルデ連邦文書館に所蔵されている関連史料の調査・収集である。8月初旬から中旬にかけておよそ2週間かけて同文書館を訪問し、R 901/81222-81233 Schantung-EisenbahnおよびR 901/5010-5012, Tientsin-Chinkiang-Bahnのファイルを調査した。この調査を通じて、本科研の第一課題である山東物産をめぐる物流競争に関して、R901/5010-5012のファイルがきわめて重要であることが判った。そのうえで、これらのファイルに収められている史料目録を作成することに専念した。この史料については、この科研期間中に改めて再調査する必要がある。 さらに、本年度は、9月21・22日(日)に福岡大学で開催されたドイツ現代史学会大会シンポジウムIII「ドイツと東アジア」で「19世紀グローバル化のなかのドイツ山東事業」を発表し、夏の史料収集の成果の一部を公表した。また、本科研テーマに直接関連する成果として、「ドイツ統治期の青島経済にみる『公共』と『非公共』」(高嶋修一・名武なつ紀編『都市の公共と非公共』日本経済評論社、2013年10月、23-56頁)を公表できた。 2014年1月以降、これらの研究成果を公表しつつ、夏に調査した史料目録を整理しながら、今後の研究計画を再検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究年度の主眼であった、ベルリン・リヒターフェルデ連邦文書館の史料調査はおおむね順調に進んだ。その際、山東物産をめぐる流通競争について分析する際に、同史料がきわめて重要であることを確認できた。しかし、想定以上の分量があったため、史料目録の作成を優先し、かつ再度の訪問が必要となった。 当初の計画では、今回の史料収集の成果を通じて、史料紹介を学術雑誌に掲載する予定であったが、ドイツ現代史学会大会での発表および成果の一部を学術書に掲載する機会に恵まれたため、そちらを優先することになった。これらの変更は、むしろ当初の計画よりも順調に進んだことの結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
山東物産をめぐる鉄道流通競争に関する基本的な史料調査ができたため、次年度以降は、その物産買付に携わった商社に関する史料調査を行う。当初、ハンブルクの東アジア協会文書館を訪問し、在中国ドイツ商社の全般的な動向を把握することを意図していたが、その主たる資料と見込んでいた東アジア協会議事録は、ベルリン・リヒターフェルデ連邦文書館にも所蔵されていることが判った。当該年度で同文書館への再訪問が必要となったため、次年度もベルリンの連邦文書館を訪問し、この二つの史料群を調査する予定である。調査時期は、当初、8月末から9月初旬を予定していたが、同時期に本科研テーマに関連するワークショップが天津で開催されるため、年度後半に史料調査を行うこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の事業経費はおおよそ予定どおり支出できた。主たる支出は史料調査のための旅費と書籍購入であるが、また必要な事務用品も購入した。その端数として44円が残ったにすぎない。 端数の44円については、今年度について、とくに支出の必要を認めなかった。そのため、本欄で機械的に次年度使用額が生じたものと理解される。
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Research Products
(2 results)