2013 Fiscal Year Research-status Report
知的障害者地域生活支援のための重度訪問介護の活用に関する調査研究
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25780340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
中根 成寿 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (40425038)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 障害者総合支援法 / 地域生活 / 支給決定 / 重度訪問介護 / 居宅介護 / 行動援護 / 生活介護 / 就労継続支援 |
Research Abstract |
本研究の目的は、障害者総合支援法に基づく地域系サービスの各自治体ごとの支給量/利用量の把握と、2014年度に予定されている重度訪問介護の身体障害者以外(身体障害者等)へ利用拡大の動向の予備調査である。本研究における地域系サービスとは「居宅介護」「重度訪問介護」「行動援護」「生活介護」「就労継続支援」「共同生活介護」を指す。またサービス利用率とは各福祉事務所が行う支給決定に対して、実際に国保連を通じて請求がなされた割合のことを言う。 2013年度は、障害者総合支援法における地域系サービス(居宅介護、行動援護、重度訪問介護、生活介護、就労継続支援、共同生活援護)の行政による2013年度4月、6月、8月の支給決定量と同年同月の国保連を通じて行われた請求量の調査を実施した。 本研究は厚生労働省が発表している統計情報「障害者福祉サービス等の利用状況について」において、2013年1月の段階で、重度訪問介護サービス利用者数が200名以上の都道府県の政令市、中核市、特例市、一般市の福祉事務所障害福祉担当窓口に対して調査票を配布した。郡部は今回の調査対象から外した。これは中根(2012)がおこなった京都府での重度訪問介護利用調査において、郡部では重度訪問介護の支給そのものが殆どなされておらず、調査を実施しても支給量ゼロという回答が多くなるという見込みのためである。この条件の絞り込みに依って調査対象となった都道府県は、北海道、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県である。以上の都道府県の自治体の調査対象となったとしたのは、363自治体であり、調査票の返却があったのは186自治体である(回収率は51.2%)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年度末の段階で、第1次調査の分析は終了している。この分析により、以下の結果が得られている。①地域系サービスの内、訪問系サービス(居宅介護、行動援護、重度訪問介護)は支給決定時間はばらつきが大きく、また支給決定時間に対しての利用率がそれぞれ48.2%、41.4%、66.8%であることがわかった。これに対して通所系サービス(生活介護、就労継続支援、共同生活介護)の支給決定日数はほぼ支給上限いっぱいでありばらつきがほとんどない。また支給決定日数に対しての利用率は訪問系サービスと比較すると総じて高く、生活介護、就労継続支援、共同生活介護それぞれの利用率は80.6%、67.8%、82.5%であることがわかった。 これにより障害者総合支援法は通所系サービスが積極的に利用されており、訪問系サービスはその補完として位置づけられていることがわかる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の次の課題は、2014年度に利用対象が拡大された重度訪問介護の支給決定、利用がどの程度普及するかを明らかにすることである。また重度訪問介護の対象拡大が他のサービスにどのような影響を与えるかを調査する。具体的に重度訪問介護の利用対象拡大が通所系サービスの減少につながるかどうかである。この課題を明らかにするために、第1次調査で回答を得られた186の自治体に第2次調査を行い、重度訪問介護の利用対象拡大後の支給決定、利用率の変化を調査する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は、2014年1月に研究代表者の配偶者が出産をしたため、研究代表者が2013年12月~2014年3月まで研究活動に時間を避けなかったことによる。この自体は本研究申請時(2012年10月頃)には予測し得なかった事態であるためやむを得ないと考えている。 本来ならば、残額は調査に協力していただいた各自治体障害者福祉関連部署への報告書の作成・印刷に充てる予定であった。 次年度使用額は、研究代表者が育児休業を終了する2014年8月以降に支出予定がある。使途は、各自治体障害者福祉関連部署への報告書の印刷と郵送費に充てる予定である。
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