2015 Fiscal Year Annual Research Report
介護資格制度の社会的意義と課題の検討-パーソナルアシスタンスの実現に向けて
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25780348
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
山下 幸子 淑徳大学, 社会学部, 准教授 (60364890)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 障害者福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は2つの面から研究を行った。1つは障害者総合支援法見直し議論の中でどのようにパーソナルアシスタンス(以下PA)が議論されてきたかを検討し、その要点を示すことである。これは平成28年度を目途とした障害者総合支援法施行3年後見直しの論点の一つに、PAが含まれたためだ。社会保障審議会等、各種の審議会の資料・議事録とともに、先行研究による文献研究の方法を採っている。結果として、PAは2011年の総合福祉部会による骨格提言や障害者権利条約を背景にした議題であったが、次の点からその実施が困難だと政策上考えられてきた。①PA制度「新規」創設への懸念、②ダイレクトペイメントへの懸念、③意思決定支援の必要な障害者への権利擁護、PAが適切か否か、④財源確保。これらの点について、これまでの施策・障害当事者運動の言及等と照合して検討し、重度訪問介護の発展的継承としてPAがあることやPAの提供形態は必ずしもDPのみではないことの明確化、PAの「実際」を起点に権利擁護について考える必要、財源確保のための試算の必要といった、PA実施に向けて検討すべき要点を明らかにした。 もう1つは、障害当事者運動体がどういうプロセス(認識の変容を含む)を経て介護の事業化に至ったのかを明らかにするため、特に介護の事業化が企図された1980年代に焦点を当て研究を行った。明らかになった事柄は以下の通りである。1980年代大阪での障害当事者運動の周辺で起きていた在宅障害者の介護に関する生活課題に対し、それ以前の運動体で行われていたように、その責任を障害者と健常者との「個の関係」の中におくのではなく、介護を「制度化」させていくべく行政に対し「公的」介護保障を要求する方向性にシフトしていく様相が明らかになった。そして、障害者運動として安定した介護派遣を行うための「事業化」にあたり、その財源と方法についても明らかにした。
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Research Products
(4 results)