2013 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生に関する制度的・実践的研究-「在日コリアン」と「移民」に焦点をあてて-
Project/Area Number |
25780356
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
竹中 理香 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 講師 (70410610)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 在日コリアン / 移民 / 多文化共生 / 外国人政策 / マイノリティ / 福祉NPO / 社会運動 |
Research Abstract |
平成25年度は、①先行研究の検討と仮説の設定、②制度分析を行った。 ①については、日本における「多文化共生」を研究テーマとする最近の文献レビューや、外国人に対する制度・政策、支援方策に関する文献の収集および分析を行った。それら作業を通して、キーワードの抽出と概念整理を行い、理論的進展を図った。 また、社会福祉学、社会学、政治学などの分野における、在日外国人および在日コリアン、移民労働者などに関する実践、社会政策、政策と実践の関係などを主題とした研究文献の収集および分析を行った。さらに、研究計画の詳細について検討し、仮設の設定を行った。 ②については、戦後から平成24年の「出入国管理及び難民認定法・入管特例法・住民基本台帳法(以下改定法)」施行に至るまでの日本における外国人政策を戦後日本の在日コリアンの社会運動の変遷と関連付けながら整理し、その特徴や問題点についての考察を中心に研究を進めた。同時に、平成24年施行の「改定法」に関する一次資料(行政が配布するパンフレット、国会議事録、各種答申など)の収集を行った。 これら研究を通して、戦後日本における外国人をめぐる問題は、「権利」と「参加」をめぐる問題であったということができることを指摘した。また、在日コリアンの社会運動は、その時々の外国人に対する政策や朝鮮半島情勢の影響を受けながら、ナショナルなレベルであるいはローカルなレベルで展開されてきており、特に2000年代以降集住地などで見られる、在日コリアン高齢者への福祉サービス提供などを行うNPO活動はローカルなレベルでの参加を志向した活動であると位置づけた。 この研究成果は、第61回日本社会福祉学会秋期大会にて「戦後在日コリアンの社会運動と福祉政策の変遷-権利と参加をめぐる運動に焦点をあてて」と題して発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①の先行研究の検討と仮説の設定については、日本における「多文化共生」を研究テーマとする最近の文献レビューを行いつつ、同時に外国人に対する制度・政策、支援方策に関する文献の収集および分析を行った。それら作業を通して、「多文化共生」に関連するキーワードの抽出とその概念整理を行い、理論的進展を図ることができた。また、戦後から近年に至るまでの日本における外国人政策の変遷を分析するための枠組みを設定した。 ②の制度分析については、戦後から平成24年の「改定法」施行に至るまでの日本における外国人政策を戦後日本の在日コリアンの社会運動の変遷と関連付けながら整理し、その特徴や問題点を明らかにすることができた。 また2012年施行の改定法に関する一次資料を収集した。しかし収集した資料の分析が現在のところ未完了である。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、平成24年施行の改定法に関する一次資料の分析を引き続き行う。 同時に、在日コリアン高齢者や移民労働者への支援組織に関する一次資料の収集を行う。 さらに、その成果をふまえて、①在日コリアン高齢者を対象とした福祉活動を展開する福祉NPOと②移民労働者支援組織へのヒアリング調査実施の準備を行う(質問項目の整理、連絡調整、依頼文書作成など)。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「改定法」に関する一次資料の収集が、ネット媒体などを利用して行うことが可能であったため、旅費および資料収集の協力への謝金が当初の予定より少なくて済んだことが理由である。 平成26年度は、25年度に引き続いて在日外国人の支援組織や福祉サービス提供組織に関する一次資料の収集にかかる旅費と、ヒアリング調査実施にかかる調査協力者への謝金を中心として使用する予定である。また、関連する文献の購入にも使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)