2014 Fiscal Year Annual Research Report
いじめシステム・モデルに基づく介入プログラムの開発
Project/Area Number |
25780521
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
久保 順也 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20451643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | いじめ / 関係性いじめ / いじめシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童生徒間で発生するいじめの特徴の把握、および介入プログラム開発を目的として開始された。 まず従来のいじめ研究を展望したところ、研究内容の種別が「加害者研究」「被害者研究」「両者の相互作用に関する研究」「介入プログラムの効果測定に関する研究」の4種に大別できることが明らかとなったが、いじめは被害者と加害者のカップリングの中で生じる事態であることから、両者からなるひとつの「いじめシステム」を想定して研究対象とする必要性が示唆された。また、いじめの中でも無視や仲間はずれに代表される「関係性攻撃」は発生頻度が高いが周囲の大人が発見・介入することが困難であることが注目された。「関係性攻撃」は加害者側の行為に着目した概念であるが、先に述べたようにいじめをシステムとして捉える必要性から、同概念を「関係性いじめ」と捉え直すよう試みた。 こうした問題意識から、関係性いじめの加害者および被害者がいじめ事態をどのように認識しているのか、あるいは相手との関係性をどのように認識しているのかを明らかにするため、大学生を対象として過去の関係性いじめ・いじめられ体験に関する質問紙調査を実施した。分析の結果、関係性いじめの被害者は、加害者よりも、相手(つまり加害者)のことを「親しい友人」と認識していることが明らかとなった。こうした、被害者側の「相手(加害者)は友人である」という認識があるため、いじめられても明確に相手を拒絶できないということが生じている可能性が示唆された。 また、関係性いじめシステムに介入するプログラム開発のため、諸外国で開発され実施されている主要な3つのいじめ防止プログラムの特徴を展望したものの、関係性いじめの発生するシステム単位への介入については共通する特徴は見いだされなかった。今回は新しい介入プログラム開発には至らなかったため、今後も研究を継続する計画である。
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Research Products
(2 results)