2015 Fiscal Year Research-status Report
量子系の条件付き対称完全正作用素値測度に関する研究
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25800061
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| Research Institution | Shinshu University |
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Principal Investigator |
大野 博道 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (90554585)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 量子情報理論 / 量子トモグラフィー |
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| Outline of Annual Research Achievements |
量子状態を観測するとき，観測には正作用素値測度が用いられるが，観測により量子状態の情報を完全に知ることができ，かつ最も効率の良い正作用素値測度として，SIC-POVM(symmetric informationally complete positive operator valued measure)が知られている．しかし，量子状態の一部の情報が既知であるとき，SIC-POVMを用いて観測を行なうと，既知である情報を二重に得ることとになってしまうため無駄が生じる．すなわち，一部の情報が既知であるときには，SIC-POVMが最良の正作用素値測度にはならない．そこで考え出されたのが，条件付きSIC-POVMである．条件付きSIC-POVMは，既知である情報に応じて得られる最良の正作用素値測度である．
昨年度までの研究では，条件付きSIC-POVMが存在する必要条件の一つと，いくつかの例を構成することができていた．本年度の研究では，さらに多くの例についての考察を行った．また，これまでの研究内容を精査し，論文としてまとめ，2015年10月に，Quantum Information Processing, Volume 14, Issue 10において，ブダペスト大学のPetz教授との共著論文「Examples of conditional SIC-POVMs」が掲載された．
また，量子情報理論と関わりの深い，量子ウォークについても研究を行った．特に，量子ウォークのユニタリ同値性とSzegedyウォークに関する研究を行い，ユニタリ同値により不変である量子ウォークの性質をいくつか明らかにした．また，量子ウォークのユニタリ同値類のいくつかを明らかした．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では，本年度の目的であった，条件付きSIC-POVMの複数の例の構成に成功している．また，これまでの研究成果を精査し，研究論文として掲載されている．このことから，研究は順調に進展しているといえる．
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| Strategy for Future Research Activity |
来年度の研究では，引き続き条件付きSIC-POVMの未解決な例について考察を行う．また，SIC-POVMには，多くの応用が知られているため，条件付きSIC-POVMにも同様の応用が考えられるかについても，引き続き研究を行う．
さらに，この研究と関わりの深い量子ウォークについても研究を行い，ユニタリ同値性やSzegedyウォークに関する研究を行う．
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| Causes of Carryover |
当初計画よりも安価で研究が進捗できたため、次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究では、研究協力者との議論の場を持つことでより深い研究が行えると考えている。そのため、研究協力者のいる大学等への出張費として、国内旅費・海外旅費に経費を多く使用する。また、多くの数学者からの意見や情報を得るために、学会や研究集会に参加することが必要不可欠であり、このための費用も必要である。さらに、量子情報理論や作用素論に関連する図書を購入するための費用や、論文のオープンアクセスのための費用としても使用する予定である。
28年度請求分と繰り越し分については、これらの経費とする。
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