2013 Fiscal Year Research-status Report
弦理論、ゲージ重力対応を核とした、物性、原子核、重力理論の未解決問題への挑戦
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25800143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
飯塚 則裕 独立行政法人理化学研究所, 階層縦断型基礎物理学研究チーム, 研究員 (40645462)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
ゲージ重力対応を用いて、強結合ゲージ理論におけるダイナミクスを重力側からの視点で理解するための様々な研究を行った。その一つとして、高温超伝導等にみられる強相関電子系を想定した、空間に並進対称性をlattice効果によって破った場の理論を考え、その上を流れる永久電流に相当する自由度が何であるかを突き止める研究を行った。 その結果、永久電流として流れる強結合の場の理論の自由度は、非フェルミ流体(ブラックホールに双対)ではなく、フェルミ流体(ブラックホールの周りのグラビトンに双対)である事をつきつめた。より具体的には、lattice効果によって並進対称性が破れ、永久電流が流れている超伝導状態とゲージ重力対応で対応する新しい重力解を構成した。この重力解は、ブラックホールが並進対称性の無い方向に回転を持つ事が不可能である(ブラックホールの剛体定理)事から、このブラックホールは回転できなく、その周りの時空が回っているに過ぎない事を示した。また別の研究として、この新しい重力解の存在は、対応するゲージ理論で自発的に対称性が破れた超伝導状態でないと存在できない事も示した。 これらの研究は、研究代表が前年度に調べたBianchi型のブラックブレーン解を、並進対称性の無い方向に運動量をもたせた解になっており、新しい重力解としても非常に興味深い。 また重力理論の問題として、ファジー球の崩壊によっておこるブラックホール生成を場の理論で解析する研究、トフーフトのブリックウォールの双対する場の理論的解釈、ブラックホールの蒸発における粒子間の相関(mutual information)について量子論に基づいて計算し、その値を再現すべき重力における局所性を破る効果についての研究等も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表が前年度に調べたBianchi型のブラックブレーン解を、並進対称性の無い方向に運動量をもたせた解を一般的な形で調べる事ができ、また、どのような条件下で新しい重力解が存在できるかをEinstein Maxwell Scalar理論で一般的な形で調べる事ができた。また、それらの解の対応する場の理論的解釈(超伝導電流の自由度)も可能になった。この他重力理論の様々な問題を場の理論で解釈する研究も多多行った。これらは全て当初の計画以上に研究が進展した事を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、重力理論の様々な問題を場の理論で解釈する研究をおこなっていく。 また、Bianchi型のブラックブレーン解から、lattice効果等のisotropyを破る場の理論の効果を重力側で解析をおこなう研究を引き続き行なっていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度9月、研究代表の所属先が京都大学から理化学研究所に移り、その理化学研究所の研究補助金を頂けたので、海外の研究会に参加する費用約50万円をその理化学研究所の研究補助金であてがったため。 2014年度夏、研究代表はアメリカ、アスペンの滞在型研究会に参加する予定である。その費用は約40万とみこまれる。さらに、2015年にも海外研究会参加を計画しており、2014年度に得られた研究結果を積極的に発表すべく研究会参加、旅費に主に使う計画である。
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