2014 Fiscal Year Research-status Report
K中間子入射反応の精密理論解析によるハイペロン分光とYY間相互作用の研究
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25800149
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌野 寛之 大阪大学, 核物理研究センター, 特任助教(常勤) (00625361)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハイペロン / 共鳴状態 / 中間子生成反応 / 部分波解析 / ストレンジネス / チャンネル結合模型 / 国際情報交換(米国) |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、反応チャンネル間の動的な結合を適切に考慮した反応模型に基づくK中間子入射反応の精密理論解析を通じ、未だよく分かっていないハイペロン(=ストレンジネス量子数をもつバリオン)の質量スペクトル、内部構造、相互作用などを、多チャンネル反応理論の観点から解明することである。本年度は、主に以下の項目を行った。
1.模型のチャンネル空間の拡張や解析に含める反応実験データ数を大幅に増やすことによって、前年度に構築したK- p反応模型のさらなる拡張、改善を行った。これにより、現時点において、共鳴エネルギー領域におけるK- p反応を最もよく記述する反応模型の構築を達成した。拡張された反応模型を用いて、反応の部分波振幅や散乱帳などの反応に関する基本量の抽出や、Λ*およびΣ*の質量スペクトルの決定をあらためて行った。さらに、Kbar Nのしきい以下のエネルギー領域での共鳴状態の存在を詳細に調べた。Λ(1405)に対応する共鳴状態を発見や、これまで未発見だった新しいハイペロン共鳴状態の存在の徴候が見つかった。模型の拡張と部分波解析に関する成果はPhysical Review C誌上に発表し、当該領域における特に重要な成果としてEditors' Suggestionに選ばれた。我々の解析から得られたハイペロン共鳴の質量や崩壊幅などの情報や、新しい共鳴状態の存在の可能性に関する成果については、現在論文にまとめている最中である。
2.Λ(1405)をはじめとする、Kbar Nのしきい以下に存在するハイペロン共鳴の情報を実験データから直接決定するために、重陽子標的の反K中間子入射反応を記述する模型の開発を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した当該年度の研究実施計画の内容を達成し、その成果をまとめた論文の執筆に現在着手している。
K- p反応の解析をより完全なものにするために反応模型の拡張を行い、それにより重陽子標的の反応模型構築の開始時期が当初の予定よりも遅れた。しかしながら、成果発表した論文がPhysical Review C誌上でがEditors' Suggestionに選ばれるなど、本研究で得られた成果が当該領域においてよりインパクトを与えるものになった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている重陽子標的の反応模型構築において、数値計算上のテクニカルな問題を含め解決すべき課題がいくつかあるが、重陽子標的反応の専門家である研究協力者らとの議論、助言を通じて進めていく。
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Causes of Carryover |
旅費のうち宿泊料を安く抑える等により生じた差額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果発表のための旅費、書籍やソフトウェアの購入、論文投稿料に充てる。
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Research Products
(11 results)