2014 Fiscal Year Research-status Report
高輝度反射高速陽電子回折による表面電荷移動を伴った新奇表面超構造の研究
Project/Area Number |
25800182
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
深谷 有喜 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (40370465)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面・界面物性 / 陽電子回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶表面の構造と物性は、ドナーまたはアクセプター原子の添加に伴う電荷移動により大きく変化する。しかし、電荷移動に伴う表面物性変化の研究は限られた系でしか行なわれておらず、その影響はほとんど分かっていない。本研究では、反射高速陽電子回折(RHEPD)を用い、アクセプターとしてボロン原子をドープした半導体表面上に形成した新たな表面超構造の原子配置と電子状態を解明し、電荷移動に伴う表面構造物性への影響を解明する。 本年度は、高濃度にボロン原子がドープされたSi(111)表面上へのSn原子吸着により発現する新奇表面超構造(Sn/Si(111)-2√3×2√3-B)の研究を実施した。前年度はアルカリ金属原子吸着により発現するバイポーラロン相(Cs/Si(111)-2√3×2√3-B)の研究を実施した。これらの表面では、吸着させる元素が異なるにもかかわらず、同じ吸着量で同じ対称性を持つ超構造が発現するため、Sn/Si(111)-2√3×2√3-B表面の研究は、表面構造・物性における基板のアクセプター原子の役割を解明するのに適している。始めに、広いドメインを持った2√3×2√3超構造の作製条件を確立した。その後、Sn原子の吸着位置を決定するために、RHEPDロッキング曲線を測定した。全反射領域において明瞭なディップ構造を観測した。動力学的回折理論に基づく強度解析から、Sn原子は少なくとも2つの異なった高さを持つ原子層を形成していることがわかった。ロッキング曲線のピークシフト量から判断すると、Sn原子吸着による電荷移動は少ないと考えられる。したがって、Sn/Si(111)-BとCs/Si(111)-B表面では、超構造の対称性は同じであるが、その原子配置は全く異なることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sn/Si(111)-2√3×2√3-B表面の最適な作製条件を見出し、RHEPD実験において重要な広いテラスにわたって均一な2√3×2√3超構造の形成を確認した。様々な入射条件でのロッキング曲線の測定を行い、動力学的回折理論に基づく強度解析から、電荷移動に伴う原子変位の知見を得た。当初の計画通り、試料作製および実験と解析が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を進める。今後は、基板中のアクセプター原子の密度変化による表面超構造の原子変位と電荷移動量への影響を解明する。基板である高濃度にボロン原子がドープされたSi(111)表面は、フラッシング後のアニール時間の制御により、ボロン原子が表面偏析する割合を変化させることが可能である。これにより、S5サイトにおけるSi原子とボロン原子の置換割合を変化させ、電荷移動量を任意に制御した基板を作製する。それらの表面上にSn原子を吸着させ、Sn原子と基板間の電荷移動量を様々に変えた表面超構造を作製し、RHEPDを用いて表面超構造の原子配置を決定する。吸着原子の結合距離と電荷移動量を系統的に調べ、電荷秩序の原子配置への役割を解明する。
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Research Products
(18 results)