2013 Fiscal Year Research-status Report
ホストゲスト化学を基盤としてO/W型エマルションを利用する遷移金属触媒の開発
Project/Area Number |
25810066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
津田 進 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (50581021)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シクロデキストリン / 遷移金属触媒 |
Research Abstract |
遷移金属触媒による炭素‐炭素結合形成反応の開発では、高位置・高立体選択性や高効率化が要求されるため、生体システム様の分子認識に基づく高機能な遷移金属触媒開発に対する期待は高いが、国内外とも、分子認識に基づいた遷移金属触媒開発は途上にある。そこで、本研究では、分子認識を代表するホストゲスト化学を巧みに利用した高性能な遷移金属触媒をデザインし、有機合成化学的に価値のある反応開発を行うことを目的とした。まず、遷移金属触媒の配位子としてカルベンを選択し、カルベン前駆体となるイミダゾリウム塩誘導体を各種合成した。このイミダゾリウム塩誘導体にはホスト分子となるシクロデキストリン(主にγ‐、比較としてα‐、β‐)を置換基として導入した。適用する反応は水系反応を対象とするため、基質としてボロン酸を用いる反応を選択した。ロジウム触媒によるボロン酸のアルデヒドへの不斉1,2-付加反応では、対応する光学活性なジアリールメタノールが高選択的・高収率で得られた。この反応においては、配位子に導入されたγ‐シクロデキストリンの水酸基をすべてメチル化したものを使用した場合でも、高選択的、高収率で対応する生成物を与えることが明らかとなった。以上からシクロデキストリンの環サイズが選択性に大きな影響を与えていることが示唆された。また、類似の1,4-付加反応においても良好な選択性と収率で対応する生成物が得られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の実施計画ではNMRスペクトル測定、吸収および円二色性スペクトル測定によって、反応中間体の観測やシクロデキストリン空孔内に基質が包接している様子の観測を計画していたが、観測できていない。しかし、代替計画として反応溶媒や反応温度、分子サイズの異なる基質の使用などによって得られた結果から、シクロデキストリン包接なしには説明できない高選択性が認められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の実施計画どおりに、ボロン酸を用いたアルデヒド類への不斉付加反応を応用し、アルデヒド類と比較して立体構造の認識が困難となるアセトフェノン類、ベンゾフェノン類を基質として、対応する生成物の高立体選択性の発現を検討する。その際には、シクロデキストリンイミダゾリウム塩の電子的なチューニングも積極的に検討し高効率な反応開発を行う。現在ロジウム触媒を主に検討しているが、鉄、コバルト、ニッケル、銅を中心とした、希少性の低い遷移金属触媒の開発も逐次検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画していた旅費が所属している講座費でまかなえたため、その分、余剰金として次年度に使用することとした。一部は試薬代・器具代に使用した。 配位子前駆体となるシクロデキストリン‐イミダゾリウム塩誘導体の合成・精製および、適用する反応開発に用いる試薬、器具の購入に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)