2014 Fiscal Year Research-status Report
銅版画に描かれる明治期農家の屋敷構えとその変容過程に関する研究
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25820317
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
不破 正仁 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 助手 (20618350)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 屋敷構え / 屋敷林 / 明治期銅版画 / 日本博覧図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農家の屋敷構えの変遷を明らかにすることを目的に、明治期銅版画を主史料として、屋敷内の建物および屋敷林に焦点を当て、明治期と現在の対比により変化の傾向を検証するものである。平成26年度は、前年度の作業を引き継ぎなら、以下の各作業の完遂度を高めた。 1)「研究史料の入手と整理・データベース化」に力を入れ、現在入手可能な史料の整理がほぼ完了した。 2)「史料解析」についても、新たに入手した史料をデータベース化し、本格的な分析作業を開始した。 ※昨年度まで個人所有のために入手困難であった未見の史料を、この度、発見・入手し、分析を行った。なお、新資料の分析結果は、これまでの傾向と大きな違いは無く、全体の分析結果の大勢に影響を与えるものではなかったが、当該資料の分析により、現在考えうる限りの資料の収集を完了したといえ、すなわち、分析結果の網羅性・信憑性が向上し、本研究の完遂度がより高まったことになる。 また、本年度は 3)「他地区の状況把握」について、国内視察に加え、海外視察も行なった。国内視察については、屋敷構えの関東地方の特徴を把握するため、各地に出向き関東地方以外の屋敷構えの視察及び記録を行なった。海外視察については、イングランド北部の農村部における生垣、石垣の利用状況、農家の配置、農村の空間構成について現状を記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由は、以下の4点である。 1)研究史料の収集について:当初計画していたなかで、最も入手困難と思われていた史料を収集し、分析可能な状態に整理した。 2)上記の作業により、本研究における入手可能な史料を網羅的に収集できたことになり、分析結果の妥当性・信憑性を高めたと考えられる。 3)分析作業の進捗:上記資料のデータベース化も完了し、来年度は本格的に史料分析が可能である。 4)他地区の状況把握:国内各地の視察では、関東地方の屋敷構えの位置づけを明確なものとすることができた。また、海外視察では日本の屋敷林・集落内樹林の構成との共通点・相違点の現状を把握することができた。これらのうち、鹿児島県奄美地域の集落構成、生垣などの構成については、日本建築学会全国大会、日本造園学会ランドスケープ研究にて発表・論文公表を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集・整理した史料の解析を進め、明治期における屋敷構えの地域的傾向を考察する。また、現存物件の調査に注力し、屋敷配置図の作成、建物の実測調査を行い、現状を記録するとともに、屋敷内の空間構成の特性を把握する。その上で、明治期から現在に至る変容過程を考察する。
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Causes of Carryover |
本研究における重要な用途として、資料収集費が挙げられる。そのうち、とくに重要なものについては複写可能であったので収集した。 次に重要な用途として、これら画像史料の分析にかかる諸費用である。史料がそろったことで本格的な分析作業が開始可能であり、結果として、次年度以降に分析用機材(画像解析用のパソコン)、画像出力用のプリンタ、画像解析に関わる人件費などが必要となる。昨年度の時点でこれらの作業が発生しなかったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、本格的に分析作業を進める予定であるが、画像解析に関わる機材の購入および研究協力費が必要となる。
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