2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25820453
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
酒瀬川 英雄 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 六ヶ所核融合研究所, 副主任研究員 (00566250)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | フィルター / 低融点合金 / 焼結金属 / 原子炉 / 自動ベント機能 / コールドトラップ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は原子力発電システムの安全対策の一つであるベント機能の改善に貢献できる低融点合金を含浸させた金属製多孔質フィルターの創製を目的とする。この低融点合金を含浸させた金属製多孔質フィルターはある温度以上になれば、低融点合金が溶け出してフィルターは自然に開孔、自動的にベント機能が発現するものである。またベントによる放射性セシウムや放射性ヨウ素の放出に対しては、金属製多孔質フィルターによるコールドトラップ効果も期待できる。 平成25年度は優れた高温強度特性や耐腐食性が明らかにされつつある酸化物分散強化型鋼製のフィルターを製作、平成26年度はこのフィルターに含浸するための低融点合金を調査・選択して含浸を実施した。 低融点合金としてはハンダとして実用されているSn-Bi系合金を選択した。これは原子炉格納容器の設計最高温度領域(おおよそ100~200℃)に融点があり、自然開孔によるベント機能を発現できるからである。またこの合金は異常液体でもあるため、固体の方が密度が大きく隙間のないフィルターへの含浸が期待されたためである。 含浸方法はフラックス(表面活性剤)と加圧処理の利用によって内部まで隙間なく含浸させる技術を確立した。なお、フィルターの開孔率の調整等により加圧処理を省くことができる見通しも得た。 含浸状態を電子プローブマイクロアナライザー観察によって確かめた結果、はんだ成分のSnとBiのシグナルはフィルター主成分のFeシグナルと重なることのない場所から検出され、Sn-Bi系共晶はんだはFeとほとんど反応することなく含浸された判断された。このことはこの含浸したSn-Bi系はんだが共晶温度(139℃)に達すれば溶融してフィルターが自動開孔するということを意味する。またSn-Biの化学組成を調整することによって溶融温度の調整も可能である。 以上より目的とする自動開孔フィルターの創製を達成した。
|
Research Products
(1 results)