2013 Fiscal Year Research-status Report
ペリニューロナルネットによる神経回路の制御機構の解明
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25830035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 純 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70582708)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ペリニューロナルネット / パルブアルブミン / GABAニューロン |
Research Abstract |
ペリニューロナルネットは、ニューロン周囲を覆うコンドロイチン硫酸プロテオグリカンである。近年の研究によって、ペリニューロナルネットは神経可塑性や記憶の維持、神経保護に関与する可能性が示唆されているが、ペリニューロナルネットがどこで、どのような細胞に発現しているかの詳細についてはいまだ明らかになっていない。そこで、マウスの海馬に焦点をあて、ペリニューロナルネットを発現する細胞について、解剖学的な検討を行った。ペリニューロナルネットはWisteria floribunda agglutinin (WFA) を用いて可視化し、WFAレクチン陽性細胞と各種分子マーカーとの共存について、ステレオロジー法を用いた定量解析を行った。その結果、海馬においては、パルブアルブミン (PV) 陽性GABAニューロンの一部がペリニューロナルネットを有していた。また、ペリニューロナルネットを有するPVニューロンは、CA1とCA3の錐体細胞層、歯状回顆粒細胞層に多く、上昇層や放線状層では少なかった。海馬におけるPV陽性GABAニューロンはBasket, Axo-axonic, Bistratified, O-LM, H-S細胞など、少なくとも5種類のサブタイプが知られている。そこで、ペリニューロナルネットを有するPVニューロンのサブタイプを検討したところ、ペリニューロナルネットを有するのは主にBasket細胞であることがわかった。一方で、Axo-axonic, Bistratified, O-LM, H-S細胞におけるWFA+ペリニューロナルネットの発現率は30%以下であった。これらの結果は、ペリニューロナルネットによる神経回路制御機構を解明する上で重要な基礎的知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ペリニューロナルネットがどこで、どのような細胞に発現しているについて、その全容を明らかにすることができた。また、次年度から進めるペリニューロナルネットの構造改変実験についても予備的検討が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、酵素やウィルスベクターを用いてペリニューロナルネットの構造改変を行い、ペリニューロナルネットがPVニューロンの活動に与える影響を解析する。さらに、記憶・学習行動の可塑的変化に焦点を当て、個体レベルにおける役割について解析を進める予定である。
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Research Products
(6 results)