2014 Fiscal Year Annual Research Report
機能性エクソソームを介した腫瘍細胞ー血管内皮細胞間コミュニケーション機序の解明
Project/Area Number |
25830089
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
梅津 知宏 東京医科大学, 医学部, 講師 (40385547)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エクソソーム / miRNA / がん微小環境 / 多発性骨髄腫 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たに樹立した低酸素耐性株と独自のin vitroモデル系およびin vivoモデル系を用いて「がん微小環境におけるエクソソームを介した細胞間コミュニケーション機序の解明」を目的とした。初年度(平成25年度)は独自に構築した「エクソソーム含有miRNAの細胞間移行を可視化できるin vitroモデル系」に低酸素環境要因を追加するための改良を行い、さらに低酸素環境に曝された腫瘍細胞から放出されるエクソソームの変化(含有miRNAの発現パターン、放出量)をmiRNAアレイおよびナノ粒子測定にて解析した。 当該年度(平成26年度)は、管腔形成時の血管内皮細胞によるエクソソーム取り込み現象をタイムラプスイメージングで解析するとともに、初年度で得られたmiRNAプロファイリング結果をもとに低酸素環境において腫瘍血管新生を誘導するエクソソームに含有されるmiRNA「miR-135b」を同定した。多発性骨髄腫細胞株RPMI8226から新たに樹立した低酸素耐性亜株が放出するエクソソームは、血管内皮細胞HUVECsの管腔形成能をin vitroで亢進した。この低酸素耐性亜株が“angiogenic switch”のモデルとして用いることが可能であると考え、この低酸素耐性亜株をマトリゲルで封入してヌードマウス皮下に移植したところ、in vitro実験と同様に生体内においても血管新生を亢進した。また、この低酸素耐性亜株由来エクソソームのみを封入したマトリゲルでも血管新生が確認された。上記の血管新生誘導型miRNA(miR-135b)のアンチセンスmiRNA(Anti-miR, Ambion)により、この移植したマトリゲルプラグ内の血管新生は抑制された。これらの研究成果をBlood誌(Umezu et al. Blood 2014, 124(25):3748-3757.)にて報告した。
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