2014 Fiscal Year Research-status Report
核様体に局在する酸化ストレス消去タンパク質群によるゲノムDNA維持システムの解明
Project/Area Number |
25840002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大庭 良介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30447883)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 核様体 / 酸化ストレス / 細菌 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ストレスからのゲノムDNA保護は、細胞生命の維持によって重要である。申請者は、細菌の核様体(染色体)タンパク質の網羅的解析から、様々な核様体タンパク質が、核様体に局在することを見出した。本研究では、酸化ストレス消去タンパク質がゲノムDNA上に局在し、活性酸素種の無効化や発生阻止によって、ゲノムDNAを保護するという仮説を検証する。平成26年度は、核様体タンパク質の一つである黄色ブドウ球菌MrgAの、DNA結合・核様体凝集能力および活性酸素種(ヒドロキシラジカル)産生阻止能力に着目し、これらの機能とゲノムDNA保護の関係を明確にすることを目的とした。まず、MrgAがDNA保護能を持ち、菌の酸化ストレス体制に寄与していることを確認した。次に、ヒドロキシラジカル産生を阻止するフェロドキシダーゼ活性を弱めた変異タンパク質および変異株を作成し、ゲノム保護および黄色ブドウ球菌酸化ストレス耐性能を調べたところ、変異タンパク質はDNA結合・核様体凝集能力は維持するものの、酸化ストレスに対するゲノムDNA保護能力は失われ、菌の酸化ストレス体制能がMrgA欠損株と同レベルまで低下することが明らかとなった。この結果は、MrgAのゲノムDNA上に局在し、ヒドロキシラジカルを消去することでDNAを保護するという仮説を支持するものである。 さらに、マイクロアレイ解析から、MrgAによる凝集によって、ゲノムDNA上の遺伝子発現パターンが変化することを見出しており、MrgAのゲノム上への局在が、直接的なDNA保護のみではないことを見出しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画したMrgA以外の核様体タンパク質の実験解析が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
MrgAに着目した研究から、直接的な機能以外の役割が見出されつつある。今後は、核様体タンパク質のDNA保護機能はもちろんのこと、その他の役割も視野に入れつつ研究を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)