2013 Fiscal Year Research-status Report
動的なオリゴマー形成因子によるWntシグナル伝達制御の構造的基盤
Project/Area Number |
25840017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
寺脇 慎一 群馬大学, 理工学研究院, 助教 (10452533)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Wntシグナル / DIXドメイン / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
Wntシグナル伝達は、ショウジョウバエからヒトに至る高等生物に保存されるシグナル伝達経路であり、細胞の増殖、分化を制御することによって生体の組織・器官の形成に極めて重要な役割を持つ。本研究では、分泌型タンパク質Wntの受容体Frizzledの直下に可逆的なオリゴマーを形成して集積するCoiled-Coil DIX1(CCD1)とAxinとの間で形成される複合体のX線結晶構造解析と熱安定性分析、物理化学的手法および培養細胞を利用した相互作用解析をおこない、βカテニンを介する遺伝子発現制御経路(βカテニン経路と呼ばれる)の制御機構を原子レベルから細胞レベルの多様なスケールで解明する。本年度は、①CCD1-Axin複合体の結晶化およびX線回折実験、②CCD1変異体とAxinとの相互作用解析、③単独オリゴマーの会合状態の分析をおこなった。 申請時までに得ていたCCD1-Axin複合体の結晶化については、AxinのCCD1結合領域、精製条件の再検討、リジンメチル化の3つの方法について検討をおこない、結晶品質の改良を試みた。その結果、イオン交換クロマトグラフィーを利用することによって複合体の精製が可能であることを見出し、試料調製を効率化した。さらに、リジンメチル化試料を調製して、結晶化を試み、複合体の結晶化条件を見出した。今後、X線回折実験を進める予定である。また、CCD1の単独オリゴマー形成についても、これまでに構造解析結果が報告されているAxinの単独オリゴマーの形成機構と異なる点を変異体を利用した相互作用解析、動的光散乱分析による分子量測定から見出した。今後、変異導入の効果を培養細胞におけるβカテニンの転写活性測定から検証し、単独オリゴマー形成のシグナル伝達制御における役割について検証をおこなう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した通り、CCD1-Axin複合体の結晶化の品質改良法を検討し、これまでの結晶とは異なる形状の結晶調製に成功している。また、相互作用解析についても、変異体の調製などの準備をすすめ、複合体形成に関与するアミノ酸残基を新規に特定した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、X線回折実験を進めることで、構造解析を進める。また、相互作用解析についても準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究は順調に進行しているが、物品購入を次年度に繰り越したため。 研究環境を充実させるために、タンパク質精製システムなどを新規に導入する。
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Research Products
(8 results)