2013 Fiscal Year Research-status Report
N-ミリストイル化により制御される核内ユビキチン-プロテアソ-ム系の機能解明
Project/Area Number |
25840039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
木村 鮎子 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任助教 (50553616)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | プロテアソーム / ミリストイル化 / ユビキチン化 |
Research Abstract |
本研究では、酵母のプロテアソーム構成サブユニットRpt2におけるN-ミリストイル化修飾が、細胞増殖期依存的なプロテアソームの細胞内局在変化と核タンパク質の分解制御に関わることを示すこれまでのデータに基づき、修飾部位特異的変異体酵母を用いて、核内ユビキチン-プロテアソーム系の基質タンパク質と生理機能の解明を目指す。本年度は、プロテアソームが主に核内で検出される野生株酵母と、細胞質内で凝集体様のシグナルとして検出されるRpt2-N-ミリストイル化部位欠損・置換変異株酵母を用いたプロテオーム解析により、変異株で特徴的に蓄積するユビキチン-プロテアソーム系分解標的タンパク質の網羅的な探索を行った。初めに、野生株・変異株の細胞抽出液を用いて、ユビキチン化タンパク質のトリプシン消化により生じるシグネチャーペプチドを精製して質量分析・比較定量解析(n = 3)を行い、検出された699種のシグネチャーペプチドのうち、変異株において有意に蓄積しているものを8種に絞り込んだ。この中には、タンパク質の核輸送・ストレス耐性・細胞周期の制御などに関わるタンパク質由来のシグネチャーペプチドが含まれていた。さらに、野生株・変異株酵母の細胞抽出液を用いたタンパク質の質量分析・比較定量解析(n = 3)を行い、変異株特異的に蓄積しているタンパク質として、上記の解析でもユビキチン化ペプチドの蓄積が確認されているタンパク質を含む、240種を同定した。機能的な違いを生み出すポリユビキチン鎖の7つの配向に由来するシグネチャーペプチドの定量も試みたが、検出されるポリユビキチン鎖の配向に、変異株特異的な傾向は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rpt2-N-ミリストイル化部位欠損・置換変異体酵母の細胞内で、野生株と比較してユビキチン化ペプチド量・タンパク質量の増加が見られる多くのタンパク質の同定に成功し、現在、これらのうち核に局在することが報告されているいくつかのタンパク質について、特異性抗体を用いたタンパク質蓄積量の確認を進めている。また、抗体を用いた検出方法が適用できないRpt2のN-ミリストイル化修飾を、質量分析装置を用いたMultiple reaction monitoring (MRM)法によって検出する系の構築も進めており、本研究はほぼ当初の計画通り進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
変異株酵母を用いた解析を引き続き進めるとともに、Rpt2のN-ミリストイル化修飾が、酵母以外の多くの真核生物においても広く保存されていること、ある種の癌組織由来細胞株ではN-ミリストイル化酵素の発現上昇と異常活性化が報告されていることから、癌組織由来細胞株を用いて同様の解析を行う。具体的には、特異性抗体を用いたプロテアソームの細胞内局在解析や質量分析装置を用いたRpt2のN-ミリストイル化レベルの定量解析により、顕著な差が見られたいくつかの癌組織由来細胞株を用いて、プロテオーム解析による特異的基質タンパク質の網羅的な探索等を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
メーカーのキャンペーン等により、消耗品類を想定より安く購入することができたため。 質量分析装置を用いた修飾ペプチド検出のための試料調製や測定に必要な消耗品の購入、免疫ブロット解析に用いる抗体や消耗品の購入等に使用する予定である。
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